神奈川県座間市のアパートで男女9人の切断遺体が発見された事件で10月31日、同アパートに住む白石隆浩容疑者(27才)が死体遺棄容疑で逮捕された。今回の事件で、白石容疑者が自宅に連れ込んだ女性は、2か月で8人に上る。SNSを使って知り合ったという。
多くの人は、「なぜ、ネットで知り合った男とすぐに会うのか?」との疑問を抱くはずだ。ITジャーナリストの三上洋さんは、「ネットに親しみのある人には、ごく自然な行為です」と指摘する。
「ネットでは、リアルな世界で家族や友人には言えない悩みや願望でも書き込めば、同じ境遇の人とダイレクトに繋がることができます。リアルではあり得ない出会いを経て、“私と同じだ”と共感し、警戒心が薄れて直接会うというのが典型的なパターンです」
ターゲットの「共感」を得るため、白石容疑者はあるキーワードを駆使していた。それが、「自殺」だ。白石容疑者はツイッターで「自殺」に関する書き込みをした若い女性を徹底的に探した。精神科医の片田珠美さんはこう話す。
「『自殺したい』『死にたい』とネットに書き込む女性は、精神的に不安定で家族の支えもなく、周りに信頼できる人がいません。弱っている女性は自分のつらさや苦しさをわかってほしく、誰かに話を聞いてほしい。その時、ネットで『あなたの気持ちはわかる。力になりますよ』と伝えられると“この人は私を救ってくれる”と簡単に思い込む。相手にとってはいいカモです」
白石容疑者はネットや路上で女性を風俗に斡旋する仕事をしていた。その際、弱っている女性につけこむテクニックを習得したとみられる。
今回の事件で衝撃的だったのは、15才の少女が被害者になったことだろう。娘を持つ親にとっては、大人の目が届かないSNSを舞台に子供たちが餌食になることに心配が募る。だが、携帯やスマホが生活に欠かせなくなった現在、SNSの利用をすべてやめるのは非現実的だ。
実は白石容疑者のような「ネット殺人者」が張る蜘蛛の巣にはパターンがある。「SNSで絶対に近づいてはいけない危険地帯」は知っておかなければならない。
まず、彼らがターゲットにするのは、前述した「自殺」のように、“少し病んでいる”ことを示す女の子たちだ。
「たとえば『家出をしたい』『家族と住むのがイヤ』と発信している女の子は気持ちが弱っていて、誰かに悩みを聞いてもらいたい。『毎日が鬱』『メンタルやられました』との書き込みも同様で、『ぼくも昔、家出したかった』『おれも鬱だよ』などの返信がくると簡単に相手を信用してしまい、実際に会う段取りを進められてしまいます」(三上さん)
まさに「溺れる者は藁をもつかむ」という心理を利用するのが彼らの手口である。
「お金がない」も蜘蛛の巣を招く危険なキーワードだ。
「『お金がなくてつらい』と書き込む女性は“カネコマ”と呼ばれ、『お金がほしいなら、こんなに稼げますよ』と言葉巧みに持ちかけられます。このタイプも格好のターゲットです」(三上さん)
こうしたキーワードを漏らす女性たちは、精神的にも経済的にも不安定な10代、20代に多い。この世代がネット上で狙われていることをまずは理解すべきだろう。
※女性セブン2017年11月23日号