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座間遺体事件から考える、ネットの作法と怖いヤツの見抜き方

ネット殺人者から身を守るには

 神奈川県座間市のアパートで男女9人の切断遺体が見つかり、死体遺棄容疑で白石隆浩容疑者(27才)が逮捕されたのは10月31日のことだった。

 その白石容疑者は「自殺」というキーワードをSNSで探し、若い女性のターゲットを選んでいたという。現実社会に居場所がなかったり精神的に弱っていたりする女性に漬け込み、連絡をする。白石容疑者はネットや路上で女性を風俗に斡旋する仕事をしていた際に、そうした弱っている女性につけこむテクニックを習得したとみられる。

“病み”を表すキーワードをSNSで流すと、めざとく獲物を探す男性からの誘いが殺到する。

 犠牲者となった23才のAさんが《死にたいけど一人だと怖い。だれか一緒に死んでくれる方いましたらdm(ダイレクトメッセージ)ください》と投稿したら、「すぐに会えます」といった男性からの返信が殺到した。接触してくる男性で注意すべきは「過度に優しい男」だ。精神科医の片田珠美さんが言う。

「白石容疑者を知る人の証言によれば、彼は表面的に異常なほど優しかったそうです。弱っている女性ほど男性から優しく対応されると、つい心を開いてしまう。彼はスカウト時代に第一印象で相手によい印象を与える技術を学んだのでしょう」

 確かに過去に白石容疑者と接触した女性たちは、「優しすぎて怖かった」「いちばん熱心に語りかけてくれた」「物静かで礼儀正しい」と口を揃える。だが優しさや熱心さの裏には凶暴な顔が潜んでいる。

 投稿内容にヒントがあると指摘するのは、ITジャーナリストの井上トシユキさんだ。

「気をつけるべきは、やたらポジティブな投稿をする人です。自殺などのネガティブな話題なのに『死んでも大丈夫』『首をつれば楽に死ねる』など妙なポジティブさがあるのは、本心ではなく気を引くための“騙し”の可能性がある。すぐにダイレクトメッセージ(SNS上で相手と非公開でやり取りができる機能)で交流することを要求したり、『明日会いましょう』などと会うことを急かすのも、何らかの意図があるはずなので注意すべきです」

 アイコンやアカウント名からも危険を察知できる。

「騙す意図を持つ男性には共通点があります。アニメのキャラやネット上で拾ったような絵の画像を使うのは、自分の情報を極力載せたくない人なので怪しい。明らかに本名ではないアカウントや『たっくん』などのあだ名で載せている人も同じ理由で気をつけるべきです」(前出・井上さん)

 実際、白石容疑者は「首吊り士」のアカウント名でアニメ風のイラストを使っていた。相手が利用するSNSのツールも判断材料になる。

「インスタグラムやフェイスブックは充実した生活を自慢する投稿が多く、ポジティブな印象があって自殺募集などは少ない。犯罪に利用されがちなのはやはりツイッターです」(前出・井上さん)

 ITジャーナリストの三上洋さんは「カカオトークに注意せよ」と指摘する。

「似た機能を持つLINEは携帯・スマホ1台につき1つのアカウントしか持てませんし、本名を名乗っている場合も多いので知らない人とのやり取りには不向きです。カカオトークは偽名アカウントが作れるし、チャットのように会話ができるため、お互いの親密感が増します。白石容疑者もツイッターで獲物を物色して、カカオトークに誘っていました」

 本当に死ぬつもりではなく、軽い気持ちでインターネット上に胸中を吐露したつもりが、思わぬ悲劇を呼んだ。子供がどのようにネットとつきあっているのか、親も知っておく必要がある。

※女性セブン2017年11月23日号

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