相撲ブームが沸騰している。「謎のスー女」こと相撲女子の尾崎しのぶ氏が、相撲コラムを週刊ポストで執筆中。今回は前回に引き続き、全国学生相撲選手権で優勝し、幕下十五枚目格付け出しでデビューして全勝優勝しながら、十両に上がれなかった悲運の力士・下田について尾崎氏が綴る。
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「全日本選手権大会ベスト十六、実業団選手権・学生選手権・国体(成人男子A)のいずれかに優勝、あるいは三位以上を二回」をもって有資格としていた幕下最下位格付け出し制度が、二〇〇〇年に廃止された。
改めて、先に挙げた四大会のうち「いずれかで優勝すれば十五枚目格」、そして「全日本選手権大会で優勝し、さらにもう一つの大会で優勝すれば十枚目格」への付け出しとなる制度が作られた。
優勝者のみに絞り込み、その代わりに幕下一場所通過にチャレンジする特権を与えるという意味合いの改定(大学に行ったとしてもトップに立った者以外は優遇されないとし、中卒・高卒での入門を促そうとしている、と私は認識していた)であったはずなので、全勝した下田の十両昇進見送りにアマチュア相撲関係者が嘆くのも当然であった。
翌場所の番付は西筆頭。勝ち越せば十両昇進となるのに、先場所とはうってかわって二勝五敗。ひざを故障していた。幕下の中位では勝ち越すものの一桁では負け越し、それを繰り返し、宇映、若圭将、若圭翔と改名していく。若圭将と名乗ったのはわずか一場所。あまりの早さに「申請の時に書き間違えたとか?」とつっこんでしまったが、藁にもすがる思いだったのだろう。