“血液検査革命”で、あらゆる病気が発見できる時代になりつつある──。本誌・週刊ポスト前号では、血液中に含まれる微量な元素の濃度測定などにより、がんの発見と、部位の特定を実現する高精度な検査法が実用化間近であることを報じた。
そして、血液でわかる病気はがんだけではない。突然襲ってくる脳梗塞や心筋梗塞も、血液検査で発症リスクを判定する検査法がすでに実用化されている。
国立循環器病研究センターと予防医療の専門企業、NKメディコが特許をもつ「LOXインデックス」は、2012年に実用化された検査法で、数ccの血液から脳梗塞と心筋梗塞のリスクを4段階で判定する。“超悪玉コレステロール”と呼ばれる血液中の「酸性LDL」と「LOX-1」の濃度から結果が導かれる。
「リスクの高さは『高』『中高』『中』『低』の4段階でお伝えします。高リスクの判定が出た場合、すでに動脈硬化疾病が進行している可能性があり、将来、心筋梗塞や脳梗塞を発症する危険性があります。精密検査を受けることをお奨めしています」(NKメディコ代表・富永朋氏)
検査費用は1万~2万円程度。全国1200の医療施設で受けられる。
2025年には、65歳以上の高齢者の5人に1人が発症するとされる認知症も、採血によるリスク判定ができる。
認知症の前段階とされる「軽度認知障害(MCI)」を判定する「MCIスクリーニング」が、筑波大学の研究チームにより開発され、2015年に実用化された。研究開発に携わった筑波大名誉教授の朝田隆氏は、メカニズムをこう語る。