国際情報

習近平「われわれは龍の子孫」に「いいね!」が吹き荒れた

米中首脳会談の記者会見 時事通信フォト

「トランプ訪問」は中国にとっても大きなイベントだった。現地の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏がレポートする。

 * * *
 中国のメディアでとみに目立って増えているのが「自己肯定」的な記事だ。なかでも、「外国がこんなに中国が褒めている」という類である。

 見ていてちょっと気恥ずかしくなるが、この点では日本も決して負けてはいないので、残念である。東シナ海を挟んで「中国はこんなにすごい」、「日本のすごさに外国人が驚愕した」とやっているのだからみっともない。しかも、どちらも欧米人に褒められることが大好きという点も共通している。

 そんななか中国人の自尊心をくすぐる記事が出て、『人民日報』が嬉々として伝えている。それが11月13日付の米『TIME』マガジンである。中国人の心をくすぐったそのタイトルは〈China Won〉である。要するに中国の科学技術の一部がアメリカを上回ったという内容だ。

 これを報じた『人民日報』のタイトルは、〈あなたが見慣れた中国のブラックテクノロジーは外国に比べて少なくとも10年は先を走っている〉だった。ブラックテクノロジーとは、未成熟でも可能性を秘めた未来のテクノロジーを指す。

 記事中では無人の輸送EV車やドローン、高速の仕分けロボットや顔認証、高速鉄道などといったお馴染みの技術がいくつも紹介されている。

 いずれも「Won」というには少し早いような気もするが、それでもアヘン戦争以来引きずってきたコンプレックスを払拭できるかもしれないという高揚感は理解できなくもない。

 だが、これが政治的な色を帯びるとやはり敬遠したくなる。つまり中華民族の優位性をことさら強調する民族主義や国粋主義的な動きだ。そして驚いたのがトランプ大統領の訪中を受けた『人民日報』の記事(11月10日付)だ。この記事の中で習近平国家主席がトランプ大統領に語ったとされる言葉がこう紹介されている。

「(習近平は中国の悠久の歴史のなかでの文化伝承に触れ)文化は流れが寸断されることなく伝承され続けてきた国は、中国だけである。われわれはまた黒髪で黄色い肌も受け継いできた。われわれは自らを『龍の子孫』と呼んでいる」

 この言葉を通訳がどう訳し、トランプ大統領がどんな顔で聞いたのかにも興味をそそられるが、いずれにせよネット上では“いいね!”が吹き荒れたという。

関連キーワード

関連記事

トピックス

百合子さまは残された3人の仲を最後まで気にかけられたという(2023年6月、東京・港区)
百合子さま逝去で“三笠宮家当主”をめぐる議論再燃か 喪主を務める彬子さまと母・信子さまと間には深い溝
女性セブン
氷川きよしが紅白に出場するのは24回目(産経新聞社)
「胸中の先生と常に一緒なのです」氷川きよしが初めて告白した“幼少期のいじめ体験”と“池田大作氏一周忌への思い”
女性セブン
公益通報されていた世耕弘成・前党参院幹事長(時事通信フォト)
【スクープ】世耕弘成氏、自らが理事長を務める近畿大学で公益通報されていた 教職員組合が「大学を自身の政治活動に利用、私物化している」と告発
週刊ポスト
多くのドラマや映画で活躍する俳優の菅田将暉
菅田将暉の七光りやコネではない!「けんと」「新樹」弟2人が快進撃を見せる必然
NEWSポストセブン
阪神西宮駅前の演説もすさまじい人だかりだった(11月4日)
「立花さんのYouTubeでテレビのウソがわかった」「メディアは一切信用しない」兵庫県知事選、斎藤元彦氏の応援団に“1か月密着取材” 見えてきた勝利の背景
週刊ポスト
田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
「週刊ポスト」本日発売! 小沢一郎が吠えた「最後の政権交代を実現する」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 小沢一郎が吠えた「最後の政権交代を実現する」ほか
NEWSポストセブン