平成28年の犬猫の平均寿命は、犬が14.36才、猫が15.04才(一般社団法人ペットフード協会調べ)。7才以上の高齢期にあたるペットの割合は、年々増加している。ちなみに、7才は小型犬・中型犬は人間でいう44才相当、大型犬は54才相当となる。
「ペットの寿命が延び、人間同様に高齢化が進んでいる」
と話すのは、白金高輪動物病院総院長の佐藤貴紀さんだ。寿命が延びた原因はさまざまあるが、例えば食事面。昔に比べ現在はどのような栄養素が必要なのか、反対に食べてはいけないものが何かが明確になりつつある。市販のペットフードも、年齢別・病気別・種類別などに細分化され、よりペットに適応した食事が与えられるようになった。
「外飼いから室内飼いへと住環境が変化したことや、ワクチンや予防薬で命にかかわる感染症を未然に防げるようになったこと、医療の進歩でこれまで治せなかった病気が治療できるようになったことなども、高齢化の原因としてあげられます」(佐藤さん)
◆寿命が延びた半面増えた病気&介護問題
高齢化で問題も起きている。
「高齢ペットが増え、腫瘍性疾患(がん)、心臓病、腎臓病、呼吸器疾患、関節疾患、脳内疾患、眼科疾患(白内障)などの病気が増えました。また、神経疾患などで寝たきりになるケースも増えています」(佐藤さん)
医療が進歩したおかげで助かる命が増えたのも事実だが、その分、医療費はかさむ。さらに“介護”が必要になることも多くなるという。
「犬の介護についての問い合わせが最近増えています」とは、老犬介護ホームなどを運営するドッグライフプランナーズ代表の岸良磨さん。
相談内容の多くが夜鳴きや徘徊など、老犬の認知症が原因と思われるケース。ペットの認知症問題は今後ますます増えていくとみて間違いない。
◆夜鳴きにおむつかぶれ、床ずれ…介護は飼い主の手に負えないケースも
岸さん自身も愛犬の介護を経験している。
「うちの場合、少しずつ認知症のような症状が出てきて、夜鳴きがひどくなりました。マンションなので近隣に迷惑となりますし、何より私たちが夜、寝られないという状況がつらかったです。おしっこも漏れるのでおむつを使ったのですが、頻繁に交換しないと、床ずれや皮膚トラブルを起こすんです」(岸さん)
実際、岸さんと同じような悩みを抱えている飼い主は多い。共働きの場合どちらかが仕事を辞める、または仕事をセーブしないといけないケースも。最近では飼い主も高齢となり、老老介護で体力的に介護が厳しくなる人もいる。
「ゴールデンレトリバーなど体重20kg以上の大型犬の介護は、家庭では負担が大きく、飼い主が体調を崩すことも少なくありません」(岸さん)
※女性セブン2017年11月23日号