昭和天皇が崩御した4年後の1993年、現在の「御所」が完成。天皇皇后両陛下はそれまで住まわれていた東宮御所(赤坂御用地)からお引っ越しされた。それから24年。両陛下が長年住み慣れたお住まいから離れる日が近づいている。
2019年3月末といわれる陛下の退位まで、残り1年5か月。両陛下の「終の住処」を巡り喫緊の検討が行われているという。
「美智子さまも80才を超えてのお引っ越しとなると、かなりのご負担だと思います。ただ新たな天皇皇后と同じ敷地内に暮らされると、日常的にお顔を合わせられることもあるでしょう。皇太子さまと雅子さまへのプレッシャーにならないようにと気を砕かれたようです。また、そのまま今の御所に住む選択肢がないわけではありませんが、新天皇のために新たな御所を建てるとなると莫大な費用が見込まれます。そういったお心遣いもあるのではないでしょうか」(皇室ジャーナリスト)
東京・港区の東京メトロ・白金高輪駅から南に歩いて約5分。日本屈指の閑静な住宅街の一角に、上部を有刺鉄線で張り巡らせた高いコンクリート塀に囲まれた土地がある。薄い青色の門は固く閉ざされ、高く生い茂った木々のすき間から洋館風の建物などが塀越しに顔を覗かせるだけで、中の様子はうかがい知れない。
歩いて10分ほどで周囲をぐるりと回れるその場所は、「高輪皇族邸」と呼ばれている。大正時代の一時期、昭和天皇(当時は皇太子)が東宮御所として暮らした場所であり、その後、昭和天皇の弟である故・高松宮さまの宮邸でもあった。1987年に高松宮さまが薨去し、妻の喜久子さまが2004年にこの世を去ってから、10年以上無人のまま宮内庁の管理下に置かれてきた。そんな場所が、今にわかに注目を集めている。
「退位後の天皇陛下と美智子さまが“仮住まい”される住居の候補の1つとして、旧高松宮邸が浮上しているのです。実際にお住まいになられるように改築やリフォームができるかどうか、警備体制が整えられるかなど、内々に検討が行われています」(宮内庁関係者)
現在、両陛下は皇居にある御所で日々を送られているが、いずれは新たな天皇に即位した皇太子ご一家に明け渡されるのが濃厚だ。その後両陛下は、現在皇太子ご一家が生活され、皇太子同妃時代を過ごされた東宮御所にお戻りになるというのが既定路線だという。皇室ジャーナリストの山下晋司氏が解説する。
「手順としては、まず両陛下が御所からお出になる。そして、御所の改修工事後、新天皇ご一家に東宮御所から移っていただく。次に、東宮御所の改修工事を行い、両陛下に住んでいただくというものです。御所は築約25年、東宮御所は何度か改修していますが築50年を超えていますので、ある程度の時間をかけて改修する必要があるでしょう。御所と東宮御所の改修期間中、両陛下にはどこかに仮住まいしていただくことになります」