昨今ペットの高齢化が進んでいる。そして、ペットは老化や病気などで視力や聴力などが落ちても、日頃生活している環境を体で覚えているため、すぐに生活に大きな支障が出るわけではないと、白金高輪動物病院総院長の佐藤貴紀さんは言う。ただ認知症の場合、テーブルや壁にぶつかり、けがをするケースが多くなる。
「サークルで囲い、歩く場所を限定する、ぶつかり防止にコーナーガードを活用するなどの対策をするのがおすすめです。また、家具の配置が変わると戸惑うので、部屋の模様替えは極力避けましょう」(佐藤さん)
一方、けがをするまでもなく、老化で脚力が落ち、寝たきりになるケースも増える。その場合、怖いのが床ずれだ。
「床ずれとは、床に当たっている皮膚が摩擦などで擦り剥けること。放っておくと敗血症になり、命の危険も。2時間を目安に寝返りさせてあげるなど、こまめなケアが必要になります」(佐藤さん)
◆充実サービスのペットホームが急増中
2時間おきの床ずれケアをはじめ、ペットが寝たきりになると、飼い主は片時も目が離せなくなる。しかしそれでは仕事にも行けない。そこで最近は、ペット介護サービスが増えている。ドッグライフプランナーズが運営する「老犬介護ホーム 水上温泉寶(たから)ホテル」もその1つだ。
「老犬をお預かりし、24時間態勢でペット介護士がお世話します。わんちゃんたちが暮らす部屋は畳敷きにし、足腰に負担がないよう工夫しています」(ドッグライフプランナーズ代表・岸良磨さん)
ホーム内は天然温泉付き。食事も個別に対応している。費用は、犬種にもより、年間1匹約100万円~と高めだが、こういった充実のサービスを提供する介護ホームには今、問い合わせが殺到している。
◆ペットの介護サービスが多様化。飼い主だけで抱え込まないことが大切
老犬ホーム以外にも、1日単位で預かる“デイケア・ショートステイ”、大型犬などで移動させるのが大変な場合は自宅に来て介護の手伝いをする“訪問介護サービス”、ペットの身の回りの世話から、飼い主の代わりに動物病院への通院代行などを行ってくれる“ペットシッター”など、ペットの老後を支えるサービスは今、多様化している。タクシー会社がペット専用タクシーを用意し、病院への往復をサポートするサービスもある。
「介護をしていると、この状況がいつまで続くのかと、気が滅入ってしまいがち。だからこそ、飼い主自身も休まないと、心と体がもちません。ひとりで抱えず、外部サービスを活用することが、ひいてはペットのためにもなります」(岸さん)
※女性セブン2017年11月30日・12月7日号