医学の分野で進む遺伝子研究。病気は「遺伝」が原因となるのか、それとも生活習慣などの「環境」が引き起こすのかという課題でも研究が進んでいる。
老後の日常生活に様々な支障をきたす病気との関係はどうか。40歳以上の20人に1人がかかり、失明原因のトップである緑内障と遺伝の関係について、スマイル眼科クリニック院長の岡野敬氏が解説する。
「眼圧が高くなって神経が圧迫され、視野が欠ける緑内障は、親から受け継いだ遺伝子が確実に関係します」
2013年に米国人医師のデイビッド・B・エイガス氏が双子研究などを用いて、26の病気の発症に遺伝的要因と環境的要因の影響が何割ほど認められるかを発表したが、その調査によれば、緑内障に遺伝が影響する割合は87%に達する。同氏の調べた病気のうち、最も高い割合である。
親が緑内障を患っていた場合は当然、自分も病気になることが案じられる。そうした人々は遺伝子検査を受けるより、眼科を受診すべきと岡野氏が指摘する。
「現在はOCT(眼底3次元画像解析)という検査装置で目の断層を撮影すれば、自覚症状が出る前に緑内障を察知できます。3親等以内に緑内障になった方がいる場合、OCTのある眼科の受診をお勧めします」
※週刊ポスト2017年12月1日号