大相撲の本場所は年6回。うち3回は東京(1月、5月、9月)、残り3回が大阪(3月)、名古屋(7月)、福岡(11月)と地方での開催となる。地方場所には、東京とは違った相撲の楽しみ方がある。
まず注目すべきは「宿舎」だ。東京ではそれぞれの部屋から両国国技館へ向かうが、地方場所では各部屋が宿舎を借り、そこから通うことになる。他のスポーツとは違ってホテルではなく、神社や倉庫、公民館などを借り上げるのが一般的だ。宿舎には「土俵」を設置しなくてはならないからである。
そのため部屋によって環境が大きく違ってくる。例えば元大関・魁皇の浅香山部屋は住吉神社内に常設された吹きさらしの土俵を使っているが、宇良や徳勝龍など5人の関取をはじめ36人の力士を擁する木瀬部屋は、屋内に土俵が3面も作られるという角界でも前例のない手厚い環境で稽古ができる。
宿舎は基本的に毎年同じところを拠点にすることが多い。だが最近はより広い場所を求めて宿舎を移すケースが出てきた。
例えば田子ノ浦部屋では、昨年の九州場所以降に横綱・稀勢の里と大関・高安が誕生したこともあって宿舎を新築。これまでの糟屋郡の公民館から大野城市内の新宿舎に移った。
元横綱・武蔵丸の武蔵川部屋は、会場から車で1時間ほどの距離にある福岡県東部の中間市に宿舎を置いた。貴乃花部屋も同じく、車で1時間かかる福岡県中央部の田川市に宿舎を構えている。
郊外を拠点とするメリットは、広い場所を確保できること、そしてファンとの触れ合いを増やせる点だ。地域振興として郊外の市町村が全面協力するイベントも多く行なわれている。