中国の対日工作機関は網の目のように広がり、日本の中枢に浸透している。最も知られる情報機関は、国務院(中国政府)に所属する「国家安全部」。詳しくは後述するが、ここから様々な組織に「工作員」が潜り込んでいる。
中国共産党直属の「中央対外連絡部」は党の外交を推進する機関だが、実質的には対外工作機関として、日本の政治家とのパイプ作りなどに勤しむ。日本国内における中国の工作活動の拠点となるのが、東京都港区の一等地に居を構える駐日中国大使館だ。大使館トップである程永華・駐日大使は創価大学に留学経験がある。産経新聞外信部次長の矢板明夫氏が語る。
「2010年の就任以来、7年を超える職務は歴代最長です。程大使の公明党人脈を生かして、自公政権に影響力を及ぼすことを習近平が期待しているからです」
幅広い対日人脈を誇る程大使のもと、大使館員は日々様々な工作を行う。
「中国の外交官は日本の政界に深く食い込み、副大臣、大臣経験者クラスとサシで食事します。彼らは外交力を武器に東京でのウイグル会議やダライ・ラマ訪日など、中国の不利益になる日本の動きを阻止すべく奔走します」(矢板氏)
これらは言わば「オモテ」の活動だが、大使館には「ウラ」の活動もある。
200人以上と言われる大使館常駐スタッフは日本の外務省にあたる「国務院外交部」に所属する者だけではない。前述した国家安全部は、参事官や書記官などの肩書で中国大使館に要員を送り、日本の警察庁にあたる「公安部」も自前の人員を配置する。