運動がカラダによいと聞いても、本格的にジムへ通うのは敷居が高い。でも、いつまでも若々しく健康でありたいと願う気持ちはある。諏訪中央病院名誉院長の鎌田實医師が、夢の若返りホルモンの分泌と、日常生活に取り入れやすい運動について解説する。
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ウォーキングは、高い血圧を下げてくれる。これは、世界の内科医が認めていることだ。ウォーキングが血糖値を下げてくれる、というのも正しい。糖尿病の治療では、運動療法は食事療法とともに中心的な治療である。
ウォーキングの効果はこれだけにとどまらない。ウォーキングをする人は、大腸がんが少ないという研究論文が複数出ている。また、うつ病が少ない、アルツハイマー病の発症が40%少ないという論文も、次々に出だした。この数年の話だ。
でも、なぜ、ウォーキングが健康にいいのだろう。そのカギはマイオカインという物質が握ることがわかってきた。マイオカインは、筋肉を動かすことで分泌されるホルモンで、50以上の物質の総称である。科学的な解明はこれからだが、全身の健康にかかわっていると推測され、夢の若返りホルモンなどと期待する人もいる。
筋肉の中で重量として大きいのは、下肢の筋肉である。特に太ももは大きな筋肉なので、ここを動かすとたくさんのマイオカインが出る。
最近、スクワットなどで筋肉を刺激してから、ウォーキングをすると、運動効果が高くなるといわれているが、このマイオカインの作用が関係しているようだ。