長きにわたって愛される加山雄三の“若大将”シリーズ。なかでも1960年代は絶大な人気を誇り、「若大将が通う京南大はどこにあるのか」「募集要項がほしい」といった問い合わせが東宝に相次いだ。
大阪出身のフォークシンガー・谷村新司(68)も、高校時代に『若大将シリーズ』を観て「東京に行くなら京南大学」と心に決め、上京した際に京南大を探して回ったという。
誰もが憧れた“リアル若大将”には、こんな逸話も残る。
『ハワイの若大将』(1963年)でサーフィンに挑戦した加山は、映画公開の翌年、サーフボードを自作し、湘南の海でサーフィンを披露。加山自ら「板に立つ格好で波に乗ったのは、日本で僕が初めて」と言う通り、スポーツ紙に《波乗り日本第1号》と報道された。
明るく溌剌とした作品同様、撮影現場はいつも笑いに包まれていた。その中心にいたのは田中邦衛だったという。
「楽屋でメイクをしながらデューク・エイセスの『女ひとり』を『京都~大阪、三千里』(実際は『大原、三千院』)って歌い出して、『おい加山、京都と大阪って三千里も離れているか?』って。大爆笑ですよ(笑い)」
加山は、愉快な思い出を懐かしむように楽しげに語る。
※週刊ポスト2017年12月1日号