作品での存在感は抜群、どんな役柄も器用に演じ分ける。高橋一生の人気はおそらく一過性のものにとどまらないだろう。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘する。
* * *
今や「飛ぶ鳥を落とす勢い」といえば、この人以外にいない? テレビで頻繁に顔を見かける高橋一生さん。「これほど出ると食傷気味」とか「人気を当てこんで安易に起用しすぎ」という意見が一方にありつつも、多くの視聴者の関心を引き寄せ女性ファンの心を鷲掴みにしています。
連続テレビ小説『わろてんか』(NHK月-金午前8時)で高橋さんが演じているのは、主人公てんの結婚候補として登場した実業家・伊能栞。てんにフラれた後も寄席の経営に助言し支え続けるお人好し。今週はとうとう、寄席の呼び込みまでさせられる始末で、チンドン屋のごとき扮装の高橋さんの姿に視聴者も困惑気味。
かつてのディーン「五代様」人気の再来を当て込んでの伊能役かと勘ぐりも。「高橋さんの才能を活かせていない」とブーイングも聞こえてくる昨今。つまり、視聴者の関心は主人公てんと藤吉のカップルを飛び越して、高橋さんへと向かっているようです。
一方、月9『民衆の敵~世の中、おかしくないですか!?~』(フジテレビ系月曜午後9時)で高橋さんは政治家一家の次男、プリンス市議会議員の藤堂を演じています。シャワーを浴びる裸のシーンがセクシーとか、「わたなべ」という偽名を使い風俗嬢と過ごす藤堂の二面性も話題となっていますが、子役あがりのベテラン俳優・高橋さんにとって、この程度の演技は朝飯前かも。
『民衆の敵』でもヒロイン・篠原涼子さん演じる新人ママ議員・智子のいわば「引き立て役」です。
そして同じこの時期、『THIS IS US 36歳、これから』(NHK日曜午後11時)では声優に挑戦。海外ドラマの吹き替えにもトライ……と高橋さんの話題は尽きません。
ご本人は役者の仕事に対していたって冷静。他人の評価を過剰に気にしたりしないしネット検索もしないとか。「僕は影響されやすいし、ひるんでしまったら、おしまいだと思います。『これは悪いって評価だから、別のことやってみよう』と思うんじゃなくて、何とか踏ん張って、やりたいことを通して演じるのが発信する側の仕事だと思います」(スポニチアネックス 2016.5.24)