長年連れ添った夫婦にも、いつかは別れの日が訪れる。それは特に夫にとって、人生を一変させるほどの深刻なダメージになる。その体験談に耳を傾けると、妻との別れと向き合うことの難しさ、大変さがよくわかる。
「いざという時」を迎えるまでは、妻に先立たれることへの備えはなかなか難しい。
サッカー協会元副会長の釜本邦茂氏(73)は、「いつか自分にも起こりうる話とは思いますが、家内がピンピンしているのでどうしても任せてしまう」と語る。
「僕は料理もできないし、宅配便が来てもハンコの場所も分からない。家内がポックリ逝けば大変なことになるのはまず間違いないとわかっているんだけどね……」
釜本氏と同じ感覚の男性は少なくないだろう。それでも心構えを知っておけば、いざという時の助けになる。まず大事なのは「完璧を目指さないこと」だ。妻がいなくなったからといって自分が料理の達人になる必要はないし、同じクオリティの家事をこなせなくても構わない。12年前に妻と離別したタレントの大木凡人氏(72)はこう語る。
「料理に手間をかけすぎて続かないのが一番よくない。包丁はできるだけ使わず、料理用のハサミで切る。火の通りにくいモノは電子レンジでチンすればいいし、野菜はコンビニやスーパーで初めからカットしてあるものを買ってきてもいい。どうしても必要なときは焦げ付かないフライパンを使う。“不器用な自分でもできることは何か”とゲームのように楽しめば、日々の自炊もおっくうでなくなります」
大木氏は、「“健康のために”と無理に外食をセーブする必要はない」という。