芸能

映画『全員死刑』監督「観客が被害者目線に立つ必要ない」

『全員死刑』の小林勇貴監督

 町山智浩氏、水道橋博士氏らが絶賛し注目を集めている映画『全員死刑』(全国公開中)。原作は福岡県で起きた4人連続殺害事件で、父、母、兄とともに逮捕され全員死刑判決となった一家の次男による犯行手記を基にしたノンフィクション『全員死刑』(鈴木智彦著、小学館文庫)だ。なぜこれほどの凶悪事件を映画化したのか。これが商業映画デビュー作となる27歳の小林勇貴・監督に聞いた。

「一家が全員死刑になるというインパクト、犯行計画そのものの大雑把さ、そして人はなかなか死なないという意外性。監督として映画を撮る前から、この作品をいつか映画化したいなと思っていました。たとえば、殺される被害者が『殺すから頭を出せ』と言われて本当に出してしまうとか、言葉は悪いけどそのまま再現したらコミカルになりすぎてしまう。原作よりも怖いほうに演出しないと、コミカルになってしまう。それがかえってこの事件の凄まじさを表しています。

 もう一つは、(原作の)鈴木智彦さんという作家のポジション取りですね。この本は犯行手記パートと著者解説パートが分かれていますが、犯人の手記が熱くなればなるほど、それを受けた鈴木さんの分析は冷めていく。本人が燃えているときに、いや現実に起きたことはこんなもんだよってさらっと突き放すんですね。

 反対に、犯人が落ち込んでいる局面では熱くなったり。その距離感が絶妙だなと思ったんです。映画の中には鈴木さんの役は存在しないわけですが、たとえば首を絞めて殺す時の犯人の興奮ぶりと、殺した後にやってくる恐怖心を対比させたりして、カット割りや雰囲気作りのなかでそのバランスを再現したつもりです。つまり、犯行手記と著者解説の熱の差、距離感を、映画でも別の形で表現したかった」

 実はこの映画に関するトークショーの最中、小林監督は鈴木氏から「被害者に対する配慮が欠けているのではないか」と疑問を呈され、意見が衝突した。そのことについて、小林監督はこう持論を述べる。

関連記事

トピックス

二階俊博・元幹事長の三男・伸康氏が不倫していることがわかった(時事通信フォト)
【一問一答】二階俊博・元自民党幹事長は三男・伸康氏と「菜々緒似の美人ママ」との不倫旅行スキャンダルにどう答えたのか
NEWSポストセブン
有村は春子の幼少期を演じた(NHK スクエア)
《オークションサイトに大量出品》有村架純が使用した『あまちゃん』台本が流出、所属事務所は「本人も胸を痛めている」 意外な“出品ルート”も明らかに
NEWSポストセブン
事件が起きてから数日、犯人はまだ捕まっていない(時事通信フォト)
《女子中学生の父親が警察署長情報はデマ》北九州ファストフード店事件をめぐる一連の憶測投稿に当該警察署は「事実ではない」
NEWSポストセブン
不倫旅行を終え、ホテルから出てきた2人
「ホテルというかあれですね…」二階俊博・元自民党幹事長の三男・伸康氏、銀座のバーのママとの不倫旅行スキャンダル 直撃取材に“現在の妻と離婚協議が最終段階”
NEWSポストセブン
1988年、『You're My Only Shinin' Star』で「第30回日本レコード大賞」金賞を受賞した中山美穂
【入浴中に不慮の事故】中山美穂さん、行きつけの焼肉店での”素の表情” 「いつも元気で素敵なまとめ役」だった 母と再婚した義父とも良好な関係
週刊ポスト
前途多難の国民の力代表・韓東勲氏(中央、時事通信フォト)
韓国戒厳令の後始末に奔走した与党「国民の力」韓東勲氏の娘に「MIT不正入学」疑惑 剥いても剥いても疑惑が出てくる“タマネギ男”が追及する泥仕合
週刊ポスト
取材に応じた「釜ヶ崎地域合同労働組合」委員長の稲垣浩氏(筆者撮影)
大阪・西成“あいりん総合センター”建て替えで路上生活者が「強制退去」 抗議活動を行う武闘派労働組合委員長が告白
週刊ポスト
中国発の飲食チェーンである「楊国福マーラータン」のマーラータン(麻辣湯)
〈キモすぎガチで声出た〉虫混入騒動の人気麻辣湯専門店、店員は「虫は野菜に入ってた。洗っているし今はもう大丈夫」実際は乾麺に…運営会社は「調査が終わっていない」と回答
NEWSポストセブン
田村瑠奈容疑者の猟奇的な側面が明らかになってきている
頭部切断事件・田村瑠奈被告(30)は自分の頬に切り込みを入れ…“あちらの世界”の恋人・ジェフの存在と“禍神さまの修行”
NEWSポストセブン
二階俊博・元幹事長の三男・伸康氏が不倫していることがわかった(HP/Instagram)
二階俊博・元自民党幹事長、“後継者”三男・伸康氏の不倫にコメント「知りません」 お相手女性の両親にはすでに“公認の仲”
NEWSポストセブン
北九州市の「マクドナルド322徳力店」で、中学生の男女2人が男に刃物のようなもので刺され、女子中学生が死亡した
《北九州市ファストフード2人死傷》女子中学生(15)は苦しそうにうずくまり…被害者の知人は慟哭「すごく真面目で可愛いくて、家族思いで…それだけはわかってほしい」
NEWSポストセブン
結婚後初めての誕生日を迎えた真美子夫人
大谷翔平、結婚後初の真美子さんのバースデーで「絶景」をプレゼントか 26億円で購入したハワイの別荘は青い海と白い砂浜を堪能できるロケーション
女性セブン