シリーズ誕生から56年を経ても色褪せない青春映画の金字塔、“若大将シリーズ”。加山雄三演じる若大将の社会人編『フレッシュマン若大将』(1969年)から『若大将対青大将』(1971年)までマドンナ・節子を演じた酒井和歌子(68)が、当時の思い出を振り返る。
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私は若大将の加山雄三さんより一回りも年下なので、恋人役のお話をいただいたときは20歳そこそこ。年が離れすぎてピンとこなかったんですよ。
不安になって「できません」って言ったら、私と歳が変わらない岡田可愛ちゃんや中山麻理ちゃんも出ているから「君にもできるよ」と説得されました。その頃は私もノホホンとしていたから(笑い)、それなら大丈夫だと思ってお受けしたのを覚えています。
撮影が始まってみると、加山さんは肩肘を張らない気さくな方で、一番年下だった私は可愛がってもらいました。映画の雰囲気と同じで、明るく楽しい現場でした。
実は私、星由里子さんがマドンナだった『レッツゴー!! 若大将』(1967年)に、ほんの少しだけスチュワーデス役で出させていただいたので、加山さんと初対面ではなかったんですよ。
よく覚えているのは『ニュージーランドの若大将』(1969年)の撮影で、2週間くらいオーストラリアとニュージーランドで撮影した時のこと。
当時は海外ロケが珍しい時代で、ニュージーランドまで行くのに香港とシドニーを経由して数日かかりました。まだ都市部にしかホテルがなくて、ニュージーランドのマウント・クックではモーテルに泊まりました。