1年で最も体調管理が難しい季節がやってきた。寒い冬はインフルエンザや風邪だけでなく、「ヒートショック」と呼ばれる脳疾患、心疾患のリスクとも隣り合わせだけに、さまざまな健康対策が実践されている。でも、もしかしたらその習慣、逆効果かもしれない。
例えば、室内での温度管理には落とし穴がある。風邪を引き起こすウイルスは低温・乾燥状態で活性化するため、予防には体を冷やさないことが重要だ。しかし、冬によく使用される「こたつ」「電気カーペット」などの暖房機器には、思わぬリスクが潜んでいる。
『長生きするのはどっち?』の著者である医師・秋津壽男氏が指摘する。
「暖房機器のつけすぎは、室内の乾燥を招きやすい。外気が乾燥すると、知らないうちに呼気や皮膚などから水分が失われていく『不感蒸泄』といわれる現象が起こる。汗をかきやすい夏は自然と水分を補給するが、自覚症状のない冬は水分補給を怠りやすく脱水症状を起こしやすいのです。
また、こたつは足、電気カーペットはお尻と、特定の部分のみに汗をかくことも多い。これは“隠れ脱水”をさらに助長します。脱水症状は動脈硬化を促進させ、脳卒中や心筋梗塞の引き金にもなりかねない。暖房はエアコンを低めの温度に設定するなど必要最低限とし、常に水分補給を心がけましょう」
乾燥を防ぐためには加湿器を併用するのも一手だが、こちらも「つけっぱなし」はよくない。
湿度が70%以上を超えると、冬でもダニが繁殖し、アレルギー発症の原因となりかねないからだ。インフルエンザウイルスは湿度50%以上で感染力を大幅に下げるため、部屋の湿度は50%以上、70%未満が適当のようだ。
※週刊ポスト2017年12月8日号