いよいよ師走を迎え、書店や文具店のコーナーには、様々な2018年の手帳が所狭しと並んでいる。だが、その大半は「忙しいビジネスマンに役に立つ」ことを謳うものばかり。リタイア世代にとっては、むしろ使いにくさがあるようだ。
2年前に定年退職した62歳・男性はこう嘆く。
「ビジネスマン向けの手帳は、当然ですが“会社勤め”を前提にしたものばかり。社員時代のように“毎日こなさなければならない仕事”を書き込む機会は減ったが、一方で趣味の時間や病院通い、家族との約束など“メモしたい内容”のバリエーションは増えている。かゆいところに手が届く手帳を探しているのですが……」
手帳売り場を見て同様の不満を感じている人は多いだろう。手帳を予定で真っ黒に埋めることが「企業戦士としての誇り」だった世代は、リタイア後も手帳への愛着を強くもっている。予定がかつてより少なくなったからといって、簡単に手帳を手放せるわけではないのだ。
“文具王”の異名を持ち、手帳にも詳しいライターの高畑正幸氏がいう。
「手帳を一番活用してきた世代が満足できる、定年後の生活を充実させる機能がついた手帳は意外にある。これからの自分の未来を思い描くうえでの必需品となり得ます」
定年後の課題に特化した代表例が「老後資金の管理」に役立つ手帳だ。収入が現役時代より減るため、退職金や年金などの管理がよりシビアに求められるからだ。