近頃絶好調なのがテレビ東京だ。『家、ついて行ってイイですか?』、『YOUは何しに日本へ?』、『緊急SOS!池の水ぜんぶ抜く大作戦』など、個性的な番組が好評で、今年6月には、週間平均視聴率(5月29日~6月4日)でテレビ朝日、フジテレビを抜き、民放3位となり、開局以来初の快挙を達成した。
『池の水ぜんぶ抜く』『モヤモヤさまぁ~ず2』を手掛けるプロデューサー・伊藤隆行さんは、テレ東の番組作りについて、こう語る。
「テレ東の番組はキラキラのセットにツヤツヤのタレントさんを呼ぶのではなく、そこらへんに転がっているガラクタを拾って、一生懸命磨くスタイル。ぼくは入社22年目ですが、そうした番組作りは昔から変わっていません。足と頭を使い、汗をかく」
他局では花形の女子アナもテレ東では特別扱いされない。元テレ東アナウンサーの亀井京子さんが振り返る。
「他局は情報番組やスポーツ、報道と分担しますが、テレ東の女子アナは人数が少ないので全部やります。ロケに出た時も技術さんやADさんのガンマイクなどの荷物持ちをお手伝いします。そもそもテレ東は女子アナにタレント要素よりもしっかりとニュースを伝えられることを求めています。だから『女子アナ』という言葉は禁止で『女性アナウンサー』と呼ぶんですよ」
テレ東社員で、自らのAD生活を綴った漫画『オンエアできない!~女ADまふねこ(23才)、テレビ番組つくってます~』(朝日新聞出版)を刊行した真船佳奈さんは、制作局に配属されて“テレ東魂”を叩きこまれたと振り返る。
「『自分で面白そうなところを見つけてこい』と野放しにされて、配属後1か月は番組で使えそうなネタを探すためずっと亀戸にいました。私がADの時は、情報を集めるリサーチャーはほとんど使わず、とにかく自分の足で調べました。情報を買うのではなく、自分の足で稼ぐのがテレ東の伝統です」
真船さんはカネがないゆえの対処法も学んだという。
「私たちは“制作費がなくても方法はある”と考えます。昔担当した音楽番組ではセットで使うお神輿が借りられなかったので、ホームセンターで木材を買って作りました。制作費は他局の30分の1くらいでした(笑い)」(真船さん)
低予算のため、他局のように「タレント重視」にならないこともテレ東の特徴だ。『家、ついて行ってイイですか?』のプロデューサー・高橋弘樹さんはこう言う。