調味料の基本「さ(とう)、し(お)、す、せ(しょうゆ)、(み)そ」。その中から、とくによく使う調味料+こしょうの料理における役割を紹介。だし代わりにもなる酒を使ったレシピも含めて、料理研究家の松田美智子さんに聞いた。
【砂糖の役割】
「まずは砂糖…」と言われるが、その理由は、砂糖の粒子の方が塩の粒子よりも大きいから。先に塩が入ると、食材の繊維の隙間が塩で埋まり、砂糖が入らなくなるためだ。
「また、砂糖にはすぐれた脱水作用があります。かぼちゃに砂糖をまぶすと水分が抜けて煮汁がすっと浸透。少ない砂糖でびっくりするほどほっくりと、やさしい甘さに煮上がります」(松田さん)
【塩の役割】
調味以外にも、野菜をしんなりさせる脱水作用や、下味、腐敗防止…など塩の仕事は多岐にわたる。もっとも重要な調味料といっても過言ではない。
「だからこそ、良質のものを使ってほしいですね。私はちょっとお値段は張りますが、調味には海水を薪火だけで煮詰めた『岩戸の塩』(岩戸館)、下ごしらえには『赤穂の天塩』(天塩)を使います。日本のお料理にはやはり日本の塩が合うと思います」(松田さん)
【醤油の役割】
しょうゆは、「さしすせそ」では4番目、みその前に位置する。砂糖も塩も入れて、ほぼ味をつけてからがしょうゆの出番というわけだ。とくに煮物の場合、しょうゆの役割は塩味を補うというよりは“風味”を補うことにある。
「しかし、しょうゆの香りは長く加熱していると逃げてしまいます。火を止める直前に加えて、ふわっと立った香りごと食卓へ運びましょう」(松田さん)
【酒の役割】
魚や肉のくさみを消して風味をつける、肉を柔らかくするなどの効能がある。また、その国らしさの味わいを演出する作用も。
「たとえばあさりの酒蒸しは、日本酒とワイン、あるいは紹興酒では風味ががらりと変わりますし、野菜も酒を使うとコクが出ます。酒を加熱してアルコール分を飛ばした“煮切り酒”を常備しておくと、だし代わりにも使えて便利です」(松田さん)
【こしょうの役割】
世界中どこでも手に入る香辛料のキングといえばこしょう。こしょうには白と黒があるが実は同一品種で、未熟な実を乾燥させたものが黒こしょう、完熟した実を水に浸し、果皮をむいて乾燥させたものが白こしょう。
「白こしょうは香りも辛みもマイルド。白っぽい料理や、穏やかな辛みが欲しいときは白こしょうを使っています。いずれにしても挽き立てを使いましょう。また、下ゆでに黒こしょうを粒のまま使えば、くさみ消しの効果もあります」(松田さん)
※女性セブン2017年12月14日号