2019年5月1日の新天皇即位と元号変更で国民の生活にも影響が出る。前回の改元時は7日間しかなかった「昭和64年」の刻印のある硬貨が流通し、500円玉が3倍近い価格で取引されるなどプレミア化した。あらかじめ改元が決まっているなか、「平成31年硬貨」は製造されるのだろうか。
財務省と造幣局は「まだ何も決まっていない」と口を揃えるが、硬貨製造は年度ごとに発行枚数の計画が立てられ、随時市中に流れていくので、4か月間ある「平成31年」の硬貨流通には現実味がある。では、新元号が刻印された硬貨がいち早く手に入るのはどこか。
「硬貨は製造後、造幣局から財務省に引き渡され、日本銀行に送られた後に市中の銀行に流れます。どこが早いか、とは申し上げられません」(造幣局広報室)
という説明からは“5月1日にまず銀行で両替してみる”しかなさそうだ──。改元が国家規模の大事業であることは間違いない。
昭和天皇の崩御時、内閣官房副長官として改元と即位の調整に奔走した石原信雄氏が指摘する。
「昭和天皇の崩御前から“その日”に備えて極秘裏に様々な準備を重ねていました。当時は新元号をスクープされないよう、元号懇談会のメンバーがトイレに行くときには事務官を同行させるなど苦労も絶えなかった。ただ、今回はオープンにできる状況であり、スムーズな改元を期待します」
あれから30年、再びやって来る“その日”へのカウントダウンが始まった。
※週刊ポスト2017年12月15日号