入院患者の検温や血圧測定、採血から、食事の配膳、医師の回診への同行、ナースコール対応まで、病棟のフロアを常に慌ただしく動き回る看護師たち。入院患者にとっては頼りになる“白衣の天使”だが、歳を重ねると、その優しい言葉に違和感を覚える患者やその家族は少なくない。
この夏、血液検査で肝機能に異常が見つかり、数日間の検査入院をした60代男性が振り返る。
「40代くらいの看護師さんで、明るくテキパキとしていて感じはよかったのですが、採血の時に『ハイ、チクッとするけど我慢してねー』と言われたり、食事をさげた後に『お薬の時間だから、忘れずに飲もっか』と話しかけてきたりと、幼児に対するような口調なんです。
自分の娘くらいの歳の相手に、なんでそんな言われ方をしなきゃいけないのか。診断がどうなるか不安だったこともあって、イラッとしてしまいました」
自宅で転倒して骨にヒビが入り、病院で1か月間のリハビリ生活を送った70代男性も同様の感覚を抱いたという。
「歩行が不自由だったので看護師さんに付き添ってもらって助かったという気持ちがある一方、“だいぶよくなったから、トイレは一人で行けるかな?”といった彼女たちの口調が気になって……。
年寄りには敬語を使ってもらえないもんですかね。リハビリを手伝ってくれた理学療法士の女性も“もうちょっと頑張れるかな?”“やればできるじゃない!”と、小学生を指導するような言い方でしたから」
些細な言葉遣いの話とはいえ、一歩間違えば看護師と患者の間での深刻なトラブルに発展しかねない。サッカー元日本代表で、メキシコ五輪得点王の釜本邦茂氏(73)は自身の体験をこう振り返る。