東京都の試算によれば、東京五輪が及ぼす経済効果は、1年間あたり約1兆8000億円になるという。だが、「ネコノミクス」はその比ではない。経済効果はなんと年間2兆3000億円にのぼる。
試算を行なった関西大学の宮本勝浩名誉教授(理論経済学)の解説は真剣そのものだ。
「昨今の猫ブームを受けて“猫がもたらす経済効果”を調べました。その結果、餌代や動物病院など猫1匹の飼育にかかる費用が年間11万1424円、これに猫の飼育頭数約987万4000匹(ペットフード協会算出。2015年)を掛けると1兆1002億円になる。これが猫の飼育に関する経済効果です。
他にも、猫の写真集やグッズなど関連商品の売り上げが年間約30億円、観光関連効果が約40億円、さらに『猫カフェ』での飲食代など、もろもろの波及効果を含め、2兆3000億円になりました」
ネコノミクスはさまざまな業界に波及している。戦前から続く建築雑誌『建築知識』では、今年1月号で「猫のための家づくり」を特集したところ、4万5000部が完売。9月には特集内容を加筆修正した単行本まで発売した。
「最近は室内飼いの猫が増えてきているという情報を得て、『猫向けの家造りの需要もあるだろう』と思い企画しました。普段の講読層は男性が大半ですが、この号は女性にも手に取ってもらえたことが売り上げに繋がったのだと思います」(『建築知識』の三輪浩之編集長)
家具作りの伝統を誇る福岡県大川市は、ネコノミクスの波に乗って、「猫専用家具」を町おこしに活用している。同市内にある広松木工では「猫専用ソファ」を製作している。