国内

日本社会に蔓延する「忖度」という病 流行語で終わらせるな

『忖度バカ』を上梓した鎌田實医師

「2017ユーキャン新語・流行語大賞」(「現代用語の基礎知識」選)の年間大賞が発表され「インスタ映え」と「忖度」に決まった。その「忖度」という病が蔓延していることが、病理のようなさまざまな症状を呈することになるのだと、諏訪中央病院名誉院長の鎌田實医師はいう。「忖度」という言葉をただの流行語に終わらせてはならない理由を鎌田氏が語る。

 * * *
 山口県周南市で昨年7月、高校2年の男子生徒が自殺した。学校でいじめがあったかどうかなど、第三者委員会が調べ、最終報告書をまとめた。ところが、その報告書を遺族に見せる際、県教育委員会が「内容を報道機関などに提供しない」などとする「誓約書」の提出を求めていたことがわかった。

 毎日新聞によると、県教委は遺族へのメールに、報告書には個人情報が含まれ、遺族にのみ提供されるものであることを踏まえ、内容を他の保護者・報道機関などの第三者に提供しないことなどと記した書類を添付し、署名のうえ提出するよう求めたという。

 県教委は、ほかの生徒たちのプライバシーを守ることが大事といいたいようだが、本当に守りたいのは自分自身なのではないだろうか。「愛国のパラドクス」という言葉がある。国のため、会社のため、組織のため、あなたのため、といいながら、実は自分の利益や出世のことを考えているのである。自分ファーストという目的を隠しながら、組織や相手にしがみつき、コントロールしようとするのだ。

 遺族は、報告書の内容を口止めされて、だれにも相談できずに苦しんでいる。

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