テレビ朝日系で放送されている3つの長寿ドラマ、『ドクターX』、『相棒』、『科捜研の女』。それぞれ長年にわたり高視聴率を続けているが、その人気の裏には重厚なキャスティングがあるという。コラムニストの今井舞さんが言う。
「“イケメン!”“人気アイドル!”という視聴者に媚びるような配役は絶対にしていない。キャスティングでワーワーキャーキャー騒がずに番宣もほとんどしない。『相棒』の『杉下右京』水谷豊さんです、キャ~、とはなっていないですよね(笑い)。○○が出演!という売り文句もない。実力派といわれる人たちを起用し、一定層の視聴者を確実につかんでいます」
出演者には普段は舞台などを中心に活躍する俳優なども多い。そんな“名脇役”がドラマを引き立てているのだ。コラムニストの亀和田武さんはこう話す。
「『相棒』では伊丹刑事(川原和久)、鑑識・米沢守(六角精児)、小野田官房室長(岸部一徳)などがいい味を出している。岸部一徳は『ドクターX』でも神原晶として独特の雰囲気を醸し出していますよね。蛭間院長(西田敏行)や麻酔科医(内田有紀)、外科副部長(遠藤憲一)も味があります。『科捜研の女』では土門刑事(内藤剛志)と宇佐見(風間トオル)はもちろんのこと、(主役の)榊マリコ(沢口靖子)を支える若手俳優陣も魅力的な存在です」
◆長寿だからこそキャストは新陳代謝
「杉下右京とタッグを組む“相棒”の初代は亀山薫(寺脇康文)。シーズン7で“2代目”の神戸尊(及川光博)に代わったときは驚きました。でも、その代替わりが『相棒』人気を加速させた」
こう亀和田さんが指摘するように、各ドラマとも出演者は代替わりや入れ替わりが必ず起こる。長寿ドラマだからこそだが、この世代交代がカンフル剤になっているのだ。
時には「えっ、どうしてこの人がいなくなっちゃうの」と視聴者に思わせることがあってもそれは必然。『科捜研の女』を手がける当エニのチーププロデューサー・塚田英明さんはこう言う。
「落合刑事(池上季実子)がシーズン15で死ぬというのはストーリー性を考えれば必然でした。視聴者のかたは残念に思われたかもしれないし、池上さんご本人も“続けたい、死にたくない”とおっしゃってくれたんです。でも、長く続けるためには必要なこと。いわば運命でした」
『相棒』でも米沢や小野田官房室長が異動や殉死でレギュラーから外れ、『ドクターX』でもシーズン毎に出演者は入れ替わる。そんな大胆な新陳代謝があるからこそ飽きることなく楽しめる。
※女性セブン2017年12月21日号