瀬戸内海に面し、岡山県最南端(島しょ部を除く)に位置する児島(こじま)は、日本産ジーンズ発祥の地として有名だ。
古くから海運業や製塩業が栄えた場所で、江戸時代には綿花栽培が始まり綿繊維技術も発展。足袋や学生服などが製造されるようになり栄えるも、合成繊維の登場で綿産業は斜陽に。そんな中、活路を見出したのがジーンズだった。
「木綿の織りや製法技術を生かし、試行錯誤の末、児島に本拠地を置く繊維メーカーの『ビッグジョン』が1965年、国産ジーンズの生産を開始し、徐々に認知度が上がっていきました。ですが、一般的にジーンズの街として知られるようになったのはここ数年です。
シャッター街になっていた味野商店街をジーンズ街として活性化させようと、2009年11月にジーンズメーカーが発起人となって、空き店舗をジーンズの小売店や工房にしたのが大きな転機となりました」(児島商工会議所業務課の末佐俊治さん・以下同)
ジーンズの街であることをアピールするため、オブジェやタクシー、マンホールのふたのデザイン、JRの改札などをジーンズの色である“インディゴブルー”で統一。その徹底ぶりが功を奏して、味野商店街は“児島ジーンズストリート”と呼ばれるようになり、今ではスタイリッシュなジーンズ店が軒を連ねるようになっている。
「メイド・イン・ジャパンのジーンズは縫製もしっかりしていて、加工技術は児島が世界トップクラス。履き心地も見た目もクオリティーが高いと、東南アジアやヨーロッパから観光客が訪れ、ジーンズの聖地として知られるようになりました」
さびれた商店街の通行者は年間6000人ほどだったが、今や観光客が約16万人に増加。ジーンズを愛す著名人も、お忍びで訪れているそうだ。
※女性セブン2017年12月21日号