同情の余地はある。そのうち日本でも同じような事件が起こるかもしれない。中国の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏がレポートする。
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高高度迎撃ミサイルシステム・サードの配備をめぐり中韓関係が冷え込んだことで、いまや中国の観光客は韓国から足が遠のいているといわれる。だが、その政治的な要因の陰に隠れてささやかれているのが、多くの中国人女性が韓国で受けた整形手術に不満を持っているという理由である。
そんな中国人の事情を反映してか、大きな注目を浴びたのが、以下の記事だ。
〈ダイエットのためガールフレンドに15万元を貢いだものの、美しく変身した彼女はサッサと他の男と結婚してしまう〉(『現代快報』2017年11月14日)
15万元といえば、日本円で約247万5000円という大金である。簡単に諦められる金額ではない。
被害者の男性は、女から手を切られると早速、韓国で使った脂肪吸引などダイエットの費用を算出し、地元・南通市の中級人民法院(裁判所)に訴え出たという話だ。
ただ、これは多くの読者がイメージするような若いカップルではない。被害者の男性の年齢は52歳、三人の子供の父親なのだ。要するに、アッシー君やメッシー君ではないということだ。
もともとこの男性は妻と三人の子供と暮らしていたのだが、三人の子を育てる苦労の中で妻が他界してしまう。男性が女性と知り合うのは、子供がみな大きくなって巣立ち、家の中がガランとしてしまうというタイミングであったという。
男性は、インターネットのお見合いサイトを通じて女と知り合ったというから結婚詐欺をイメージするが、それもそうではないらしい。二人の間には婚約はもちろん結婚の約束さえもなかったという。
そういうわけで判決は男性の主張を退ける内容だったという。男性は当然のように控訴したが、それでも女性から15万元をとりたてるのはほぼ不可能と思われる。まさしく後の祭りなのだ。