2019年4月30日に退位することが決定した天皇皇后両陛下。残された時間を、これまでの日々を思い起こしながらお過ごしになるだろう。その中で、30年以上にわたって、両陛下の心に引っかかっているものがある。宮内庁関係者が明かす。
「両陛下は、退位までに韓国訪問を実現されたいと願われているようなのです」
戦後50年(1995年)の節目を迎えて始まった両陛下の「祈りの旅」は、長崎、広島、沖縄に続いて、戦後60年(2005年)のサイパン、戦後70年(2015年)のパラオ、2016年のフィリピンと続いてきた。
その旅の「空白地点」が韓国だった。陛下の学習院時代のご学友で、元共同通信記者だった橋本明氏は、生前、本誌・女性セブンの取材にこう明かしていた。
「皇太子時代の1986年、両陛下の韓国訪問が予定されていました。ところが、美智子さまが子宮筋腫の手術のため入院を余儀なくされ、取りやめに。それからというもの、両陛下は韓国訪問への思いを日増しに強くお持ちでした」
また、2001年の誕生日会見で、陛下は次のように話された。
「私自身としては、桓武天皇の生母が百済の武寧王の子孫であると続日本紀に記されていることに、韓国とのゆかりを感じています」
陛下は皇室の歴史に交わりを持つ朝鮮半島に関心をお持ちのようだ。それが垣間見えたのが、2017年9月20日の高麗神社(埼玉県)訪問だった。
「『百済』『新羅』と並んで、600年代中盤に朝鮮半島を支配した『高句麗』にゆかりのある神社を参拝されたことは、日本だけでなく韓国でも大きく報じられました。それも両陛下のご意向があったようで、やはり“韓国とのゆかり”を大切にされていると感じられました」(皇室記者)
高麗神社参拝の3日後、韓国の首相が「退位前に韓国に来て、これまで両国が解けなかった問題の扉を開いてくだされば、両国関係の大きな助けになる」と提案。翌10月にも、駐日韓国大使が「訪問していただければ、韓日関係に特別な意味を持つと思う」と期待感を示した。
だが、現在の日韓関係を鑑みれば、実現が容易でないことは明白だろう。2015年末の慰安婦合意も、いまだに火種となって燻り続けている。
「陛下は、政治も外交関係とも切り離して、“象徴として訪問したい”というお考えのようです。美智子さまは、そんな陛下のお気持ちに寄り添われ、30年前の『約束の地』での務めを果たされようとしているのでしょう」(宮内庁関係者)
撮影/雑誌協会代表取材
※女性セブン2018年1月1日号