昨今、「帰宅恐怖症夫」が話題だ。テレビや新聞だけでなく、雑誌やネットテレビでも続々と特集が組まれている。2017年6月、『帰宅恐怖症』(文藝春秋刊)を上梓した夫婦問題カウンセラーの小林美智子さんが解説する。
「昔もなかなか家に帰らない男性はいました。でも、それは“家に帰るよりも同僚と飲みに行きたい”“どうせ帰っても妻は冷たいんだから、仲間内で麻雀をしてる方が楽しい”といったポジティブな考えだった。それが、最近の帰宅恐怖症の特徴は“妻が怖くて帰れない”ことです。仕事が終わると安い飲食店やマンガ喫茶でひとりで時間を潰し、お金がないと図書館へ行ったり、公園のベンチでぼんやりしたり。居場所を求めて、ふらふらすることから、彼らは『フラリーマン』とも呼ばれています」
なぜ今、帰宅恐怖症が増えているのか。
「1つ目の理由は、女性の社会進出が進み、経済力が上がったことです。共働き家庭が増え、妻の収入が増えたことで、夫は稼いでも家で大きな顔をできなくなりました。特に夫より妻の年収や社会的地位が上だと、夫は帰宅恐怖症に陥りやすいという傾向もあります」(前出・小林さん)
帰宅恐怖症が増えた理由の2つ目に、夫が要求される家での家事や育児などのレベルが高くなったことがある。
「共働きになれば、夫も育児や家事に参加しなければなりません。男性たちもその必要をヒシヒシ感じてはいるものの、“男子、厨房に入るべからず”世代の父親を見て育っているので、お手本がおらず、どうかかわっていいかがわからない。
同じように稼いでいるのに家事育児ができない夫を見て、妻は最初やんわり伝えるんですが、だんだんキツく言うようになり、男性は責められているように感じる。会社でも上司に怒られ、家に帰っても妻に怒られる。イクメン礼賛の世の風潮がパパたちを追い詰めているんです」(前出・小林さん)
『AERA』(12月4日号)では、辻希美(30才)の夫・杉浦太陽(36才)が、結婚して3年目の頃に倦怠期に陥り、車の中で時間を潰すフラリーマンだったことを明かした。
「結婚当時、辻さんは20才で杉浦さんは26才。できちゃった婚で叩かれたことから、“家族を支えられる大黒柱になろう”と決意したそうです。でも恋人期間が短かったことから結婚後に倦怠期がきたり、多忙な辻さんに代わって3人の子供の面倒を見る時間も増えた。イクメンのプレッシャーでしょうね。“子供のことは大好きなのに…”と、ドアを開けるのが億劫になったこともあったようです」(芸能関係者)
※女性セブン2018年1月1日号