酒ありたばこありで深夜営業が基本の、大人の癒しの場“居酒屋”。ここが今、子供と一緒に夕食を楽しめる家族団らんの場となっており、お子様歓迎の看板のある居酒屋チェーンも増加。しかし、アンケートによると「子連れで居酒屋」への「反対」は70.4%、「賛成」は29.6%となった(セブンズクラブ会員〈全国の10~80代の男性・女性470名が回答、実施期間2017年10月13~18日〉)。
読者の意見は、「居酒屋に子供を連れていくべきではない」が多数となったわけだ。
「反対」意見としては、「毎日頑張って働いている大人がやっと肩の荷をおろして楽しめる場所で、子供の泣き声や叱られる声を聞きたくない!」(57才・主婦)など。
一方、「賛成」意見としては、「酒やたばこがOKのレストランやファミレス、焼肉店などは問題にならず、居酒屋だけNGなんておかしい!」(48才・パート)などがあった。
居酒屋に子供を連れていくことの問題点を関東学院大学社会学部准教授・井田瑞江さんはこう指摘する。
「大人の空間である居酒屋に子供がいるというだけでほかの客とトラブルになることがあります。子供からすれば、滞在時間が長くなりがちな居酒屋での食事は退屈でしょうし、受動喫煙の危険性も高まります」
一方、子育て人口が東京都内最大を誇るベッドタウンの江戸川区に居酒屋を構える「くいもの屋 わん 葛西店」店長の武村敏明さんは、子供連れにもやさしいプランを展開する理由をこう語る。
「子供連れプランを導入する前から、お子様連れのお客様は多かったのですが、ほかのお客様に気を使っている姿を何度も拝見しました。この地域で暮らす人々のニーズに合わせ、居心地良い空間作りを、お子様連れのお客様にも変わらず提供したいと思い、キッズルームを設置しました」
キッズルームを設置したことで早い時間からの入店を希望する客が増え、開店を16時に早めたほか、子供の安全面やほかの客に迷惑がかからないようスタッフで配慮するよう心がけているともいう。
前出の井田さんも、子連れにはデメリットがある一方で、母親が炊事から解放され、家族団らんを楽しめるというメリットもあると加える。
たばこの煙が立ち込める空間や酔っ払いの姿を子供に見せるのはよくないが、子連れ家族の居酒屋ニーズは、共働き世代の拡大とともに、実際増えている。それを踏まえた対策を、店と子連れ家族側がしているならば、居酒屋もこれからの家族団らんの場になりえるのかもしれない。
※女性セブン2018年1月1日号