2018年に20周年を迎える人気番組『情熱大陸』(MBS制作・TBS系列放送)。常にカメラに追われる気持ちは密着された者でなければ決してわからない。2016年6月19日放送回に出演したカメラマンの渡辺達生さんに、撮影の裏側をこっそり語ってもらった。
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話をいただいたのは、集英社からぼくの本『渡辺家 素顔のアイドルたち1974-2016』が出るタイミング。『情熱大陸』は好きな番組だったし、昔からぼくらの写真は『11PM』など深夜番組で需要があったから、スタジオへ行く機会も多くてテレビの出演に抵抗もなかった。
「密着されるから、親戚に電話しちゃおう」みたいなのもなかったね。ただ、最近のカメラはものすごく画素数がいい。もうジジイだから、「よし、出るなら元気に映ろう!」とは思いましたよ。最近は生のカメラで現場を切り取ってそのまま見せてくれる番組はないから、そこが魅力。それだけにぼくを密着して画が持つのかが、心配だった。
だって被写体が入れ代わるだけで、ぼくはかわいいお姉ちゃんや時にはおじちゃんたちをカシャカシャ撮っているだけだから。でも、カメラの操作法を助手に聞いている様子なんかも映っていて、放送を見ても、嘘をついている感じがしなかった。
スタッフは“おれが、おれが”と主張してくるのではなく、控えめでいい感じに攻撃的。密着も実にさりげなくて、カメラの存在を感じさせなかった。見事だね。
逆に、質問は拍子抜けするほど普通。感情を揺さぶるようないじわるな質問をする手法もあるけれど、毒がない。
撮られる中でこちらもサービス精神を発揮してちょっと大げさに動いたり、かっこつけてカメラを構えたところはすべてカットされていた。自然な姿じゃないからね。グラビアの撮影は下ネタが多いんだけど、テレビのコードではNGらしく、その自然な姿は流してもらえなかったのが残念(笑い)。
仲間からの反応は早く、業界での番組の影響はすごかったのですが、近所のおばさんからの「見たよ~!」の一言がうれしかった。
※女性セブン2018年1月1日号