2018年の日本経済には2回、大きな分かれ道が待ち受けている。最初は4月の日銀総裁人事だ。黒田東彦・総裁は異次元の金融緩和で株価上昇をもたらした立役者であり、安倍首相は続投させる意向だ。
だが、日銀135年の歴史で総裁を2期10年続けて務めた人物はいない。さらに黒田氏は73歳と高齢であり、退任の意向を固めているとの見方もされる。そうなると後任人事次第で経済の先行きは“天国”と“地獄”とに分かれていく。
ポスト黒田に名前が挙がっている有力候補は2人。安倍首相の経済ブレーンの本田悦朗・スイス大使と中曽宏・日銀副総裁だ。投資顧問会社「マーケットバンク」代表の岡山憲史氏はこう指摘する。
「本田氏はアベノミクスを構築したブレーンの1人で、消費増税にも反対しているリフレ派の代表格です。総裁になれば“本田バズーカ”で金融緩和をさらに強化するという期待がある。海外の投資筋も本田総裁誕生なら日本は買いと見て、株価はグングン上がっていく」
これまで総裁人事は財務省と日銀のたすき掛けで行なわれてきた。財務省出身の黒田氏が退任したら、順当なら次は元大蔵官僚の本田氏ではなく、中曽副総裁の順番になる。
「中曽氏も金融緩和路線をすぐにやめることはないでしょう。それでも黒田路線からの『出口戦略』に転じる時期を考えるとみられている。その姿勢が見えたら市場は失望して海外勢が真っ先に売りに回る」(同前)
バブル以後の最高値を更新している現在の株高の原動力は外国人投資家の「買い」だ。それが一斉に売りに出れば株価は急落する。