これほど政治家の「言葉」が国民を怒らせ、失望させた1年はなかった。2017年前半は権力に酔った暴言が相次いだ。
「こんな人たちに負けるわけにはいかない」
安倍晋三・首相の発言を筆頭に、「震災が東北で良かった」(今村雅弘・前復興相)、「あれは怪文書みたいなもの」(菅義偉・官房長官)、「このハゲー!」(豊田真由子・前衆院議員)もあった。
彼らは選挙が近づくと国民の怒りを恐れて「真摯」「反省」を繰り返したが、総選挙に勝利すると再び本性を現わした。
“これで禊ぎは済んだ”と満面の笑みをたたえ、権力を笠に着て国民を小馬鹿にし、批判されても鼻で笑ってみせる。そうした「国民愚弄発言」のMVP候補に一番にノミネートするのは、稲田朋美・元防衛相の呆れた発言である。
「有意義な1年でもあった」
さる12月11日、活動再開した自身の勉強会「伝統と創造の会」で稲田氏が語った言葉だ。
大臣時代にウソ答弁を重ね、自衛隊の日報隠し問題では説明を二転三転させ、北朝鮮ミサイル危機のさなかに防衛省内を機能麻痺に陥れたことさえも、彼女にとっては「有意義」だったようだ。
「彼女は今も自分は初の女性首相の最有力候補と思っていて、勉強会では『戦う政治家として活動したい』と力説していた」(自民党議員)
※週刊ポスト2018年1月1・5日号