富岡八幡宮の宮司である姉を日本刀で殺害した弟で元宮司の富岡茂永容疑者。姉弟の血で染まった神社は試練の時を迎えている。
「正月の初詣客は相当減るでしょう。大きな神社では『年収の3分の1から半分ほどを正月で稼ぐ』ようなところもあり、約20万人も訪れていた富岡八幡宮にとって賽銭や浄財の収入が減るのは大打撃です」(『宗教問題』編集長の小川寛大氏)
今後、最大の問題となるのが後継者問題だ。富岡八幡宮は明治時代に現在の名前になった折、当時の宮司が富岡姓を名乗って以来、代々富岡家が継いできた。
「本来なら茂永容疑者の息子が有力ですが、茂永容疑者が犯行前に送ったとされる手紙には、息子の宮司就任を要求し、守られなければ〈永遠に祟り続けます〉と記載されていた。その要求に従うことになるため現状では継ぐことが難しく、当面はナンバー2の権宮司が代行を務める状態が続くと見られています」(同前)
富岡八幡宮は江戸三大祭りの一つ「水かけ祭り」(深川八幡祭り)で知られ、地域住民に親しまれてきた。富岡家は地元の名士でもあるだけに、さぞや心配しているかと思いきや……。
「今回の事件を契機に、長く続いてきた富岡家による神社の私物化から脱却すべきだという声が高まっている。富岡家が決めた神社本庁の脱退も考え直すべきではないか」(近隣に住む神輿総代のひとり)
家族間の「水かけ論」にいつまでも付き合ってはいられない。
※週刊ポスト2018年1月1・5日号