縁結びを願い艶やかな振袖姿で訪れる若い女性たち、合格祈願のため絵馬に志望校を書く学生、家内安全を願う家族連れ…。例年、全国各地でのべ9000万人を超える参拝客で賑わう初詣は、日本ならではの風物詩。神社やお寺にとっては大事な“かきいれ時”でもある。
「大勢の参拝客が訪れる大きな神社やお寺は“売り上げ”が多い。初詣客数全国一で、正月三が日だけで320万人ほどが訪れる東京の明治神宮なら、お賽銭が1人100円としても3億2000万円。他にお札やお守りの売り上げもある。神社によっては正月だけで年間の半分を稼ぐところもあります」(神社関係者)
平成30年度の税制改正で年収850万円を超すサラリーマンは増税されるが、寺社などの宗教法人の税金は格安。「うらやましい」という声が上がるのも当然だが、それゆえお金がうなっている“金満神社”ではトラブルが絶えないのも事実。富岡八幡宮の刃傷事件もしかり。
「富岡八幡宮の収入はお正月だけで約2億円といわれます。不動産の賃料収入などを合わせれば、最低でも年間5億円は下らない。その金を握る宮司の地位をめぐり姉弟が文字通り血で血を洗う争いをしてしまいました」(地元関係者)
富岡茂永容疑者が、姉で宮司の富岡長子さんを日本刀で殺害した理由の1つに「跡継ぎ問題」もあったという。
「長子さんの運転手は現場から100mも走って逃げましたが、追ってきた茂永容疑者の妻の真里子容疑者に切りつけられました。右腕は切断に近い状態だそうです。運転手は30代前半で、九州の某神社の子息。長子さんに大学の学費も援助してもらい、息子同然にかわいがられ、養子にしようという話もあったそうです。彼が養子に入れば、自分の息子が跡目を継げなくなると焦った茂永容疑者が凶行に及んだともいわれています」(社会部記者)
◆神社を巡る後継者争いは他にも
例年、富岡八幡宮は30万人もの初詣客で賑わうが、2018年はどうなるのだろうか。雑誌『宗教問題』編集長の小川寛大さんが言う。
「ナンバー2の権宮司が、長子さんの代行となって例年通り行うようです。しかし、縁起を気にする人はいるので、初詣客はかなり減るでしょう。収入も半分ほどになるのではないでしょうか」
全国に約4万社ある「八幡宮」の総本宮、大分県にある宇佐神宮でも後継者争いが起きている。
「宮司は代々世襲されていたので、2008年に先代の宮司が亡くなった時は、神社の有力な氏子で構成される役員会が世襲社家である到津(いとうづ)家の長女を後任の宮司に推薦しました。長女は急遽、修行をして神主の資格をとりました」(前出・小川さん)
しかし、神社本庁は「経験不足」を理由に別の宮司を派遣した。
「到津家の長女は神社本庁を訴えましたが、敗訴。本庁側は長女を解雇しました。しばらくは落ちついていましたが、2016年2月に別の宮司が就任すると、世襲を支持する氏子たちは再び反発を強めました」(地元関係者)
その後の2016年5月、氏子や地元の他の神社は話し合って、「今後、宇佐神宮には一切何も協力しない」と決めた。
「全国的に有名な神社とはいえ、地域の支えがあってこそ、大きな行事やお祭りが行えるものです。地元からソッポを向かれては、寄付金も集まらないでしょうし、お祭りの運営も大変でしょうね」(前出・神社関係者)
※女性セブン2018年1月4・11日号