髪の毛を派手なカラーで染め上げ、ド派手なファッションと過激なステージングで魅了する――。初期の「X JAPAN」に象徴されるような、現実世界とは相容れにくいイメージの強かったヴィジュアル系バンドは、若者にとって「親に隠れて楽しむ」文化だったと言えるかもしれない。しかし、近年そのシーンにも変化が生じているという。
それが「親に紹介できる」ヴィジュアル系バンドの登場だ。きっかけとなったのは、10月に放送された『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系)だった。ヴィジュアル系シーンの歴史が特集され、そこでゴールデンボンバーの鬼龍院翔が「GLAY」の凄さについて説明する際、「親に紹介できるヴィジュアル系バンド」と評したのである。爽やかな見た目と楽曲で親も安心できるという意味だろうが、それ以降、バンギャル(※ヴィジュアル系バンドを愛好する女性)の間では、このワードが「言い得て妙」だと話題になり議論に火が着いているという。バンギャル歴15年という女性Aさん(30歳)はこう語る。
「この言葉は、周りのバンギャルの間でも大きな話題となりました。Twitter上では『親に紹介できるヴィジュアル系』として色々なバンドの名前が挙がっています。見た目も過激過ぎず、歌詞がエログロ・猟奇的ではなく演奏も上手い、メロディが美しいといったバンドは『親に紹介できる』バンドと言えますよね。
例えば、メンバー全員がイケメン揃いの『A9』(エーナイン)は、イケメン好きなマダムにもウケそう。またヴィジュアル系には珍しく、ツインギターとキーボードを入れた6人編成の『Blu-BiLLioN』(ブルービリオン)は、K-POPアイドルのように爽やかイケメンが揃い、曲調も一般ウケしそうなものが多く、親御さんも安心しそうです。他にも『シド』や『MUCC』(ムック)、シャンソンも歌いこなすソロシンガー『Kaya』などが当てはまると思います」(Aさん)