医師が処方した薬でも、組み合わせ次第でそれは“毒”になることもある。複数の薬を同時に飲むことで起きる薬効の増減「相互作用」は、製薬会社による新しい情報の更新と告知、薬剤師による確認と判断によって防ぐ努力が繰り返されている。しかし、それでも複数の医療機関にかかっていたりすることで間違いが起きている。だからこそ、薬の「飲み合わせ」を把握しておくことが重要になってくる。
薬剤師の堀美智子氏は「『高血圧』と『糖尿病』の薬を飲む人は一般用医薬品との相互作用に注意してほしい」という。糖尿病治療薬で低血糖が引き起こされたとき、βブロッカーと呼ばれるグループの降圧剤を併用すると、低血糖症状に気づきにくくなり、かつ回復を遅らせるからだ。
「降圧剤の『ACE阻害薬』や『ARB』を飲んでいる人が痛み止めを飲むと血圧のコントロールが悪くなることがある。また糖尿病治療で血糖値を下げる薬と、サリチル酸系の鎮痛解熱剤を併用すると、血糖値が下がりすぎる可能性があります」
また、これからの季節に気になる花粉症の薬でも、「抗ヒスタミン薬は下痢止めなどと併用すると逆にひどい便秘になるリスクがある」(同前)という。国際医療福祉大学大学院教授で医師の武藤正樹氏が指摘する。
「多科受診、多剤併用が増え、年齢を重ねるごとに薬を飲む機会も種類も増えます。市販薬でも添付文書に注意すべき飲み合わせが書かれています。服用する際は、必ず目を通しましょう」
正しく飲んでこそ、薬の効能は発揮される。
※週刊ポスト2018年1月1・5日号