国(厚生労働省)や東京都がそれぞれ法令で規制強化を図ろうとしている屋内の受動喫煙防止対策。今までに伝えられている案では、学校や医療施設・児童福祉施設などは「敷地内禁煙」、大学や官公庁、老人福祉施設などは「屋内禁煙」にする方針で国も都も一致しているが、もっとも議論が分かれているのが飲食店だ。
両案とも喫煙専用室の設置以外は原則店内禁煙を掲げるが、飲食業界の強い反発もあり、店の広さや業態によって例外規定を設ける措置が練られてきた。
国は当初、店舗面積30平方メートル以下の小規模店、しかもバーやスナックなど酒類を提供する店のみ「喫煙可」とする案を示していたが、「厳しすぎる」「居酒屋等との区分けが難しい」といった声も挙がり、結論は先送りになっている。
11月には、大手チェーンや新規出店の店を除き、150平方メートル以下なら喫煙を認める“緩和策”が検討されているとの報道も流れたが、店舗面積による線引きはあくまで臨時の措置と考えられているようだ。
また、「(国の面積基準は)1ケタ間違いでは」と発言している東京都の小池百合子知事も、来年成立を目指す都条例は30平方メートル以下しか認めないと強硬姿勢を貫いている。
いずれにせよ、国や都は法令によってたばこが吸える環境を徐々に減らしていき、最終的には飲食店のみならず、すべての屋内を一律禁煙にしようとしているように見える。
今回、当サイトでは、法規制の有無にかかわらず早くから全席禁煙を決断する一方で、店内に仕切られた「喫煙専用室」を設けて喫煙客への配慮も続けてきた飲食業界の大手2チェーンを取材。そこには現場でしか分からない受動喫煙対策の苦労があった。