この1年、あなたはどんな本と出会いましたか? 有識者3人が選んだ「2017年の3冊」を紹介してもらいました。
■山田詠美さん(作家)の3冊
『晩鐘 上・下』佐藤愛子(文春文庫)
別れた夫の死の知らせから遡る彼をはじめとした人々の「かく生きた」記録。そこには、もちろん主人公も含まれている。最後に彼女が聞くという晩鐘の音が、あまりにも壮絶な孤独を響かせていて、いっそう美しい。
『愛されすぎたぬいぐるみたち』マーク・ニクソン(オークラ出版)
『売春島「最後の桃源郷」渡鹿野島ルポ』高木瑞穂(彩図社)
■出口治明さん(ライフネット生命創業者)の3冊
『パパは脳研究者 子どもを育てる脳科学』池谷裕二(クレヨンハウス)
動物は次の世代のために生きている。人間も同じで子育ては最も大切な営為だ。その子育てを題材に、最新の脳科学の知見と組み合わせて、これほど温かく平易に人間という動物の本質を解説した本はない。2017年のベストの一冊だ。
『育児は仕事の役に立つ~「ワンオペ育児」から「チーム育児」へ~』浜屋祐子、中原淳(光文社新書)
『この世の春 上・下』宮部みゆき(新潮社)
■山尾志桜里さん(衆議院議員)の3冊
『本当の戦争の話をしよう ─世界の『対立』を仕切る─』伊勢崎賢治(朝日出版社)
福島の高校生18名と「紛争解決人」伊勢崎賢治さんとのトークセッション。原発政策から憲法問題まで、現実を学び、矛盾と向き合い、言葉を紡ぐ。学生たちの5日間を追体験するほどに、正解は、二項対立を超えて葛藤する自らの心の中にあることを知る。
『太陽の棘』原田マハ(文春文庫)
『一九八四年 新訳版』ジョージ・オーウェル(早川書房)
※女性セブン2018年1月4・11日号