国内

教師と生徒の信頼関係があれば体罰は「愛の鉄拳」になる?

親も納得する体罰がある?(イラスト/アフロ)

 愛知県名古屋市にある学習塾『集賢舎』は、「合理的スパルタ塾」だ。親にあらかじめ「体罰NG」「シッペまでならOK」「ビンタまでOK」から1つを選んでもらい、それに沿った指導をする。つまり、親から公認を受けたうえで、体罰を加えることがあるのだ。

 同塾の岡田永吉塾長は講義中、声を荒らげたり机の脚を蹴ることがある。だがそれは、生徒を集中させるための「演技」だと言う。

「感情を込めて怒ることは結構なのですが、感情的に怒ってはいけません。感情的になると、叱る側が叱られる側と同じレベルになってしまう。とくに先生がカーッとなって手を出す体罰は罪です」

 本人・保護者公認の体罰をする際も、岡田塾長は必ず丁寧なフォローを心がける。

「シッペやビンタをするときはその生徒の少しでもいい点を見つけて大きく褒めます。たとえば、『お前ほど真面目な男の子がなんでこんなことをしたのか』とか、『きみほど物事を整理できる女の子がなぜなんだ』などと声をかけます。根拠がないのに褒めると子供は必ず嫌がるので、しっかりといい点を見つけるよう日頃から注意しています」

 岡田塾長は、それぞれの子供によって体罰のやり方をケースバイケースにすることを心がける。保護者がビンタOKでも、その子の様子や性格から口頭注意に切り替えることもある。

 細やかな気配りからか、体罰を受けた後は子供に変化が見られるという。

「体罰後、泣いたり落ち込んだりということは、ほとんどありません。当然だという受け止め方で反抗や口答えもありませんが、叱られたことでピリッと引き締まる子が多く、それが波及してクラス全体が成長します。これ以上体罰を受けるのは嫌だという本能と、自分の悪い面は改めなくちゃという理性から子供たちは変わっていくのだと思います」

 つまり、根底に生徒との信頼関係が築けているかどうかで、同じ行為が体罰にも愛の鉄拳にもなるということ。

 なぜ手を上げるのかを説明することも重要だと言うのは『3年B組金八先生』(TBS系)で熱血教師・坂本金八を演じた武田鉄矢(68才)だ。

 ある時、武田の知る高校生が運動部のレギュラー争いから外れ、ふてくされて喫煙しているところを先生に見つかった。

 その後、先生は自宅を訪れて、「お前がたばこを吸ったら、全国大会を目指している部活の仲間はどうなるのか」、「お前には何人もいい友達がいるのに、なぜ最近は連絡を取らないのか」などと30分以上も切々と言い聞かせた。

「それから祖母に向かって、この先生は『おばあちゃん、この子殴るで』と言って、バチンとやった。後日、この子はテレビで教師の暴力問題の報道を見ながら、『先生が殴るには、殴るだけの意味があるわい』とボソッと言ったそうです。きちんと話をしてから殴れば、『先生は何かを伝えようとしている』と生徒は理解できるんです」(武田)

※女性セブン2018年1月4・11日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
大村崑氏
九州場所を連日観戦の93歳・大村崑さん「溜席のSNS注目度」「女性客の多さ」に驚きを告白 盛り上がる館内の“若貴ブーム”の頃との違いを分析
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
佐々木朗希のメジャー挑戦を球界OBはどう見るか(時事通信フォト)
《これでいいのか?》佐々木朗希のメジャー挑戦「モヤモヤが残る」「いないほうがチームにプラス」「腰掛けの見本」…球界OBたちの手厳しい本音
週刊ポスト
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン