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高田川の乱と貴乃花の乱 角界の「一門制」崩壊の歴史

今回の「乱」の行方は果たして(時事通信フォト)

 貴乃花一門が二所ノ関一門から独立する2010年以前まで、角界は「5つの一門」時代が長く続いていた。当時の各一門は約20人ずつだったので、それぞれ2人の理事を送りこむ構図が定着し、2年に一度の理事選は無投票で決まるのが慣例だった。他の一門を切り崩すようなことも起きず、各一門内の事前調整ですんなりと定数10人の理事が決まってきた。この“出来レース”に波乱を起こしたのが、1998年の「高田川の乱」だった。

 当時の境川理事長(元横綱・佐田の山)の年寄株制度改革に親方衆が反発。既得権を守ろうとする彼らに担ぎ出される形で、当時の高田川親方(元大関・前の山)が出馬表明。高砂一門内の調整を無視する形で理事選に立候補し、11人の候補者による初の理事選が行なわれた。この選挙で高田川親方は見事に当選したが、高砂一門から破門されるという騒動に発展した。

 だが、数年後には「事前調整慣習」が復活し、2004年からは再び無投票当選の理事選が続く。「高田川の乱」以降は各一門の人数にばらつきが出てきたものの、当選に必要な票を融通し合うことで無用な戦いを避けるという“角界の知恵”がはたらいていた。

 それを破壊したのが2010年の「貴乃花の乱」だ。二所ノ関一門に所属していた貴乃花親方が親方6人を連れて離脱、理事選に立候補したのだ。

 土俵改革を唱えて理事選出馬を目指した貴乃花親方は、当時38歳。だが、二所ノ関一門会で「理事には早すぎる」との反対論が起き、出馬を断念するよう求められたため、それに反発して一門を飛び出した。この「貴の乱」は他の一門にも波及し、伊勢ヶ濱一門(当時は立浪・伊勢ヶ濱連合)からも造反して貴乃花親方に投票する動きが起きた。その後、貴乃花グループは貴乃花一門を結成し、現在の6つの一門体制が誕生。

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