全国各地の地名とひらがな、4桁の数字が記された車のナンバープレート。近年は希望ナンバー制も導入され、数字にこだわりを持つ人は多いが、スポーツ界のあの有名人たちも例外ではなかった。
◆名選手のこだわり
400勝投手の金田正一氏の愛車のナンバーは現役時代の背番号「34」だ。金田氏はこう語る。
「ワシは高校を中退して国鉄にシーズン途中で入団したから、若い番号に空きがなくて『34』をつけた。活躍すると球団から若い番号を提案されたが、自分の番号を育てようと断わった。
車屋(ディーラー)にも“34番の車なら買う”と無理を聞かせたし、ハワイに行っても34の車を用意させた。どこに行ってもすぐにバレたよ(笑い)」
◆元祖「背番号ナンバー」
最初に背番号とナンバーを揃えたのは通算310勝の元巨人のエース・別所毅彦氏だという。
「昔は高級車を乗り回せるのは巨人の選手くらいだった。別所さんが背番号と同じ『11』の車なのが格好よくて、みんな真似した。ワシの『34』、長嶋(茂雄)の『3』、王(貞治)の『1』が後楽園球場の駐車場に並んだこともあった」(金田氏)
◆ディーラー泣かせの注文
希望ナンバー制導入は1999年。どうして金田氏らは1960年代、1970年代に希望ナンバーを入手できたのか。大手ディーラーのベテラン営業マンが振り返る。
「当時は番号順に交付されていたので、陸運局でそのタイミングを待つしかなかった。“この番号が欲しい”とリクエストされても、よほどの上客でないと対応しませんでした」
駐車場での“ONK揃い踏み”の陰には、ディーラーたちの苦労があったのだ。
※週刊ポスト2018年1月1・5日号