中国とオーストラリアが非難合戦を展開している。マルコム・ターンブル豪首相が中国政府機関や中国企業がオーストラリアの国会議員に違法献金をしているなどとして、「中国によるわが国への内政干渉を憂慮している」などと中国を批判。これに対して、中国共産党機関紙「人民日報」が首相の名指しは避けながらも「豪州は人種差別で誇大妄想」などと強く反論している。この非難の応酬のさなか、違法献金を受け取ったとされる渦中の豪州国会議員が辞任するなど、波乱の展開となっている。
ロイター通信によると、一部豪メディアが野党労働党のサム・ダスチャリ上院議員への中国企業の違法献金疑惑を報じたうえで、この献金は中国の国有企業が豪石油ガス開発大手企業の買収に絡んでいるなどと指摘。さらに、同議員を含む国会議員数人にも献金を行い、中国軍の南シナ海の島々での軍事基地建設などを正当化する政治活動を行うように依頼した疑惑も併せて伝えた。
これについて、ターンブル首相は2017年11月初旬、「中国共産党が豪に干渉しようとしているとする報道を真剣に受け止めている」と発言。そのうえで、首相は、外国勢力が「豪と世界の政治プロセスに影響を及ぼそうとする前代未聞かつ高度な試み」を行っているとし、「中国の影響に関する気がかりな報道」に触れた。
これに対して、中国外務省スポークスマンが「全く根拠のない報道であり、首相は事実確認を行っていない」などと抗議している。
さらに、人民日報は「豪メディアの報道は想像の産物で、中国政府への根拠のない攻撃」などと論評したうえで「豪に住む中国の学生や人々を中傷した」などと批判した。 また、同紙は「この種の感情的な被害妄想は人種差別的な意識に基づいている。多文化社会という豪のイメージを傷つけるものだ」と決めつけた。