中国内モンゴル自治区の裁判所は12月中旬、元朝(1271~1368年)の基礎を築いたモンゴル族の英雄、チンギス・ハーン(1162~1227年8月)の画像を何度も足で踏みつける行為を撮影した動画を中国の動画サイト「快手」に投稿した19歳の男性に対して懲役1年の実刑判決を下したことが明らかになった。
これに対して、「漢(紀元前202~23年)の武帝(紀元前156年6月~同87年3月)や宋(960~1279年)の朱元璋(1328~1398年)の場合も同じように罰せられるのか」などと反発する声が出ている。英BBCが報じた。
この男性は名字の羅さんとしか明らかにされていないが、今年5月寧夏回族自治区銀川市のモンゴル族の住居である包(パオ)のなかで、チンギス・ハーンの画像を足で踏みつけている動画を公開したところ、ネット上で拡散。これを見た内モンゴル自治区オルドス地区在住のモンゴル族男性が「少数民族を侮辱するもの」などとして警察に訴えた。
警察は少年を逮捕し、同地区の地方裁判所は12月、中国の刑法で定められている「(少数)民族差別および侮辱扇動罪」に基づいて、羅さんに懲役1年の判決を下した。羅さんは「社会を騒がせて申し訳ない」として、判決を受け入れて、控訴しなかったため、判決は確定した。
しかし、これに対して、ネット上では多数のコメントが寄せられている。とくに、多いのは反発する声で、「かつての文化大革命(1966~1976年)の時期、毛沢東主席を侮辱した農民が懲役10年の判決を受けたことがあったが、今回のチンギス・ハーンの例もこれと同じではないか。人権侵害だ」とか、「漢の武帝や宋の朱元璋ならどうか?」あるいは「チンギス・ハーンはモンゴル族の英雄かもしれないが、漢族(中国人)からみれば、たんなる侵略者だ。19歳の少年は侮辱する気はなく、たんなるイタズラの気持ちだったのではないか」などというもの。