自転車通勤やポタリングが流行するなど、日本における自転車をめぐる環境が変わりつつある。移動手段としてより、生活の様々なシーンに登場するようになった自転車と、鉄道がこれまで以上に連携をとる動きがある。1月6日に運行が始まるJR東日本の「B.B.BASE」など、鉄道会社の新たな試みについて、ライターの小川裕夫氏がリポートする。
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通信大手のNTTドコモやコンビニ最大手のセブンイレブンが、自転車シェアリング事業を拡大・進出させている
それまで両社は、自転車はおろか交通分野と無縁だった。にもかかわらずドコモとセブンイレブンの2社が乗り出したことで、自転車シェアリング事業の急速な需要拡大が見込まれる。自転車はますます、身近な移動手段として浸透しそうだ。
移動手段という意味では、これまで自転車とはライバル的な立ち位置だった鉄道会社も、自転車との共存共栄を模索している。
三重県の三岐鉄道、滋賀県の近江鉄道、熊本県の熊本電鉄といったローカル鉄道は少しでも利用者を取り込もうと、平日の昼間や休日などの空いている時間限定で車内にそのまま自転車を持ち込むことができるサイクルトレインという列車の運行を始めている。
地方において、日常的に鉄道を利用するのは高校生が中心。そのため、通学時間帯を除けば、ローカル線の車内は閑散としている。
サイクルトレインは遠方へ買い物に出かける主婦層や休日に友達と遠出する中学生、また、点在する観光地を自転車で巡ろうとする観光客など、新たな需要の掘り起こそうという試みだ。