1982年、『ザ・ベストテン』(TBS系)の司会者として人気を博していた久米宏氏が、フリーになって初めて手がけた情報番組が『久米宏のTVスクランブル』(日本テレビ系)だった。後の『ニュースステーション』(テレビ朝日系)の原点とも言うべきこの番組は、当時は異例だった芸人・横山やすしの起用で話題を呼んだ。
自伝『久米宏です。ニュースステーションはベストテンだった』(世界文化社)を刊行し、『週刊ポスト』(1月4日発売)のインタビューにも登場する久米氏が振り返る。
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横山やすしさんはたまたま僕と同い年で、僕は昔からやすきよの大ファンで、『TVスクランブル』という企画が持ち上がったときに、どうしてもやすしさんに出てもらいたかったんです。それで、『料理天国』(TBS系)という番組で共演していた西川きよしさんにやすしさんを紹介してもらったんです。でもその後、「やすしさんと番組をやる」って言ったら、きよしさんは反対したんですけどね(笑)。「やめたほうがいいですよ、やすしさんとはやめたほうがいいですよ」って。でもやってみたら、やっぱり、面白かったんですよね、スリリングで。
ソ連の最高指導者だったブレジネフの葬儀のときに、「こいつ、アカやろ?」って言い出して。僕は、「バカ!」とか言ってやすしさんを怒ったりなんかして(笑)。番組も評判がよくて、数字も大河ドラマの裏で想像以上に健闘して、やすしさんの評価もかなりあがったんです。新境地開拓みたいに言われて。
ただ、やっぱり、居心地が悪かったんでしょうね、最終的に。自分が信じていることを言って、それが僕に「バカ」って言われたりなんかしたりして、でも、評判はいいという、妙な立場に置かれたのが嫌だったのかもしれないですね。