「中国のハワイ」と呼ばれる中国南部・海南島の中心都市、三亜市の三亜湾沖合のホンタンベイを埋め立てて、空港を建設する総工費1000億元(約1兆7200億円)の巨大プロジェクトが中止に追い込まれたことが分かった。
環境保護を訴えるNPO法人「自然の友(FON)」が建設工事によって、ホンタンベイ周辺に生息しているシロイルカの居住海域や三亜サンゴ礁国立自然保護区が破壊されるとアピールを行ったためだ。
中国国土資源省傘下の国家海洋局は、建設母体の海南省政府が提出した環境影響評価算定書に「非常に多くの問題がみられる」として、プロジェクトの中止を命じた。地方政府主体のプロジェクトが認可を取り消されるのは極めて異例で、自然保護という国際的な機運の高まりを受けて、中国政府が判断したとみられる。
三亜市のホンタンベイ沖合埋め立てによる空港建設プロジェクトは近年の海南島への観光客急増に伴うもので、プロジェクトの総面積は26平方kmと東京ドーム553個分という広大なもの。
空港自体は大型旅客機が乗り入れることができる4000m級の滑走路が4本と3カ所のターミナルを擁する計画だった。空港が完成すれば、年間6000万人の旅客が処理できると見込んでいた。
しかし、FONは2017年初めから「これだけ巨大な空港を建設すれば、国立自然保護区になっているサンゴ礁群が破壊されるほか、周辺に生育しているシロイルカの生態に影響を与えるのは必至」などとして、建設反対を訴えていた。