芸能

西郷どん 序盤のカギ握るのは「女」、特に注目は小柳ルミ子

初回視聴率が低迷した『西郷どん』、今後の見所は?

 平均視聴率15.4%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)と初回は苦戦したNHK大河ドラマ『西郷どん』。しかし、物語はまだ始まったばかり。序盤のカギは「女」の描き方にあると時代劇研究家でコラムニストのペリー荻野さんは指摘する。ペリーさんが解説する。

 * * *
 そんなわけで、戌年らしくワンコを連れて元気よく走って登場した鈴木亮平西郷どん。第一話からマントを翻す、馬で疾走する、何をやってもカッコよかった島津斉彬(渡辺謙)をはじめ、歴史を動かす人物が次々出てくるドラマだけに、とても男っぽいドラマかと思うが、私は「女」の描き方もカギになると思う。

 なにしろ、「日本一のモテ男」というイメージで描かれる今回の西郷。「男が惚れる」のはもちろん、三番目の妻・糸(黒木華)をはじめ、島の妻・愛加那(二階堂ふみ)、於一(篤姫・北川景子)ら女性キャラクターも興味深い。そんな中、この物語の序盤で注目したい「女」といえば、西郷の敵ともいえるお由羅(小柳ルミ子)の存在だ。

 薩摩藩主・島津斉興(鹿賀丈史)には、嫡男・斉彬がいるが、江戸育ちの側室お由羅は自分が生んだ久光(青木崇高)を藩主にしたくてたまらない。第一話でも、上半身はシャツとチョッキ、下半身は袴という和洋折衷サムライファッションを難なく着こなし、オーラを放つ斉彬を嫌な目で見ていたお由羅。

 カッコいい異母兄、斉彬に憧れちゃってる久光と二人きりになった途端、彼女は目をつり上げて「負けてはなりません!」と藩主になれと厳命。「じゃっどん母上…」ともじもじする久光に「薩摩言葉も直しなさい!!」と息子のほっぺをペタペタ。猛烈ママぶりを発揮している。

 小柳ルミ子の強烈演技といえば、ドラマ『家なき子』で子役時代の安達祐実をいじめ倒していた姿を思い出すが、今回のお由羅は、薄い眉毛に真っ赤な口紅でどこか妖気を感じさせる迫力。キラキラのかんざしの後ろから触覚でも生えてきそうである。

 実はお由羅は、これまでの時代劇では「呪いの女」の如く描かれてきたのだ。彼女が蹴落としたい斉彬の子供たちが次々と亡くなり、ついには斉彬までもが病に苦しむことに。それってお由羅の呪詛のせいでは!? ウワサがたつのも仕方ない。

 ちなみに「直木賞」で知られる作家・直木三十五がこの「お由羅騒動」を小説にした『南国太平記』を原作に今から40年ほど前、NHKで放送されたドラマ『風の隼人』では、お由羅(演じていたのは名女優・南田洋子)の呪詛の証拠となる泥人形発見!!というシーンが出てくる。その泥人形を探し当てたスパイのような若侍を演じていたのが、『西郷どん』のナレーションを担当している西田敏行だった。
 
 近年の小柳ルミ子は熱烈サッカーファンにして、特にメッシへの熱い思いが大爆発。底知れぬパワーを感じさせる。『西郷どん』の予告でお由羅は「私を憎むがいい」と言い放っていたが、その気迫には鈴木亮平も蹴り飛ばされそうである。実際、お由羅騒動では対立した藩士たちの多くが厳罰を受けた。西郷どんの幼なじみの大久保正助(後の利通・瑛太)の運命も大きく変わってしまう。

 この作品の原作者(林真理子)も脚本(中園ミホ)も女性の心理描写がうまいことでは定評がある。Eテレの名番組『ねほりんぱほりん』ならぬ『まりどんみほどん』が、どんなお由羅を見せてくれるか。序盤の見どころである。

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