高齢化が急激に進む中、社会問題となりつつあるのが「墓地」だ。かつては地元の家の墓を守ることが当然とされたが、核家族化や東京への人口移動で“墓を守れない”という事態も多くなっている。都心に墓を新たに買う場合、選択肢は多様化している。
昔ながらの墓にこだわる場合、費用は小さくない。介護情報・終活のアドバイザーである横井孝治氏が解説する。
「都内だと、お墓の土地代だけで200万~300万円といわれます。墓石まで入れると500万円ほどかかることもあり、負担が非常に重くなる。父親を亡くした息子が無理をして霊園に500万円を支払い、母親を介護する費用に窮した例もあります」
そうしたこともあって、近年は納骨堂が人気だ。横井氏自身、父親の遺骨をタワー型の納骨堂に納めたと言う。
「都内なら数十万円から百万円程度で受け入れてくれます。ただし、こうした納骨堂では納骨から数十年経過したら合祀墓にお骨を移動して、他の方々と一緒に埋葬されるのが一般的。合祀の時期などは、納骨時の契約によります。
また、都内の霊園では『樹木葬』などと銘打ち、園内の樹木の下に大型のカロート(納骨棺)をつくって、そこに合祀するスタイルも出始めています。こうした納骨堂ならば、数万円から20万円ほどの費用でお骨を受け入れてもらえます」(横井氏)
伝統的な墓を買い、自分の死後はその前で手を合わせてもらいたい──その願望に「500万円の価値」があると考えるか。それ次第で、答えは変わってくる。
※週刊ポスト2018年1月12・19日号